お灸のススメ~いろいろな種類のお灸~

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お灸のススメ

たまには鍼灸について書きます。

といっても難しい話ではなく、お灸の紹介。

僕は鍼灸の専門学校に入って、初めて本格的なお灸を体験しました。

それまでも鍼灸を受けたことはありましたが、僕が通っていた鍼灸院は鍼だけの所でした。

そもそも鍼灸を受けたことがないという人が多いのですが、

(僕の患者さんは3分の2が鍼灸初体験)

鍼を受けたことがある人でも、お灸は初めてだということが多いです。

お灸は「熱い」というイメージからか、一般に鍼よりも怖いと思われているようです。

体験してみると、そんなことないんですけどね。

それどころか、お灸はもっと使われていいと思うんです。

ある意味お灸もその場しのぎの「対処法」ですが、

ちょっとした不調なら、薬を飲む代わりにお灸で対処する。

こんな習慣を持っていると、ご家庭での健康づくりに役立つと思います。

お灸は簡単

鍼を扱うには専門的な知識と訓練が必要です。

やっぱり体内に異物を刺入するわけですから、

適切な扱い方を知り、何年も訓練する必要があります。

だから鍼は、ほぼ完全に専門家の領域。

でもお灸は、やり方を覚えれば誰でもできます。

その証拠に、ひと昔前までは家庭で普通に使われていたんです。

おじいちゃんやおばあちゃんの背中に、

大きなお灸の跡が残っているのを見たことある人もいるはず。

戦前くらいまでの日本は、ちょっとした不調なら、

自分でお灸をすえて対処することが多かったようです。

年配の患者さんから聞いた感じだと、

だいたい昭和初期ごろまでは日常的に行われていたようですね。

子供のお仕置きに「お灸をすえる」なんて言いますが、

大人にとって養生法であったお灸が子供の躾に使われたのかも。

それだけ日常の中に、お灸が浸透していたということでしょう。

その当時の日本は、今のようにどこにでも病院があったり、

健康保険で安価に医療を受診できた訳じゃなかったので、

庶民は簡単には医者にかからないし、かかれなかった。

多少の不調は放っておくか、お灸などして自分で治していたのだと思います。

そもそもお灸って何?

お灸とは何でしょうか?

お灸は鍼よりも古い歴史を持つと言われていますが、

艾(もぐさ)というものを皮膚の上で燃やして、

熱刺激や煙の薬効によって起きる生体反応を利用した治療法です。

艾とは、よもぎの葉っぱの裏に生えている「白いうぶ毛」を乾燥させたもの。

うぶ毛の部分だけを残したものは純度の高い艾で、

比較的やわやらかい刺激になるため、主に肌の上で直接燃やす「点灸」に使います。

葉っぱの部分も混じった粗い艾は火力が強いため、熱量を多く必要とする場合に使うんです。

何段階もの純度の艾が作られていて、僕たち鍼灸師は用途に合わせて使い分けています。

お灸の効果に感動

僕が鍼灸の勉強を始めてはじめに体感した「治療効果」がお灸の効果でした。

鍼灸学校の1年生の時、はじめの実技の授業で体験した棒灸、

とてもシンプルな方法ですが、感動的なほど暖かくて気持ち良かった。

あったかい熱が身体の深いところまで染みわたる、、というような感覚がありました。

僕はいま、基本的に食事や生活による予防を重視していて、

鍼灸であっても症状に対する「対処法」にすぎないと思っています。

ただ、そうは言っても、生きていればいろいろなトラブルが付きもの。

身体の不調に自分で対処する方法として、お灸はナカナカ役立つものだと思います。

お灸と聞くと「熱くて火傷するもの」というイメージが強いようですが、

実はいろいろな種類があって、熱くないやり方もたくさんあるんです。

しかも、ちょっと練習すれば誰でも、自分でできるんですよ。

お灸の種類

というわけで、今日はよく使われている代表的なお灸を紹介します。

これらはすべて、僕が鍼灸院で使っているものでもあります。

点灸(てんきゅう)

純度の高い良質な艾(もぐさ)を米粒の半分くらいの大きさにして、

皮膚の上で直接燃やすお灸です。

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基本的に皮膚の上で焼き切るため、

しっかりやるとチリっとした熱さを感じます。

ピンポイントにツボを刺激して血流を促進、

免疫反応を呼び起こす効果があります。

知熱灸(ちねつきゅう)

知熱灸は、小指の先ほどの量の艾(もぐさ)を皮膚の上で燃やし、

熱さを感じたらすぐに取り去るお灸です。

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点灸よりも少し粗い艾を使いますが、

熱さを感じたらすぐに取り去るため、やけどしません。

あぶり灸

艾を丸めたものをピンセットでつまみ、

火をつけて「あぶる」ようにして身体を温めます。

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冷えたところを柔らかい刺激でじっくりと温める目的で使います。

じわっと暖かい、気持ちいいお灸です。

竹の輪灸

直径3センチほどの竹の輪っかの中に、艾を詰めて燃やします。

そうして温めた竹の輪で、ゴロゴロと体に当てて転がします。

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暖かくて軽いマッサージのような効果のあるお灸です。

僕は腰や背中に鍼をする前に、広い面積を軽くほぐす目的で使います。

多くの患者さんが、とても気持ちいいと喜んでくれます。

指圧やマッサージよりも軽い刺激で身体が緩みます。

棒灸(ぼうきゅう)

棒灸は、艾(もぐさ)を和紙でくるみ、棒状に固めたもの。

先端を燃やして、冷えているところや元気のないツボに近づけて温めます。

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棒状になっているため、専用のホルダーにいれて使うこともできて便利です。

棒灸は、長時間じっくりと温めることができるのが特徴。

材料として艾だけを固めたものの他に、漢方薬を調合したものとがあります。

長時間燃やすと煙がたくさん出てしまうのが難点ですが、

お灸の匂いにはアロマテラピー効果もあるので、

必要としている人ほど「いい匂い」と感じるようです。

灸頭鍼(きゅうとうしん)

灸頭鍼は、鍼の上にピンポン玉状に丸めた艾をつけて燃やします。

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鍼とお灸の2重の効果がある、僕たち鍼灸師が良く使う技術です。

鍼を刺すので一般の人には難しいですが、取り入れている鍼灸院で受けることができます。

僕は、慢性腰痛や冷え症の治療でこの灸頭鍼をよく使います。

芯まで温まってとろけるような気持ちよさを感じ、治療効果も高い方法です。

台座灸(だいざきゅう)

自分でお灸をしている人のほとんどが、台座灸を使っていると思います。

千年灸というメーカーが有名ですが、

シール付きの台座を使った、簡易版のお灸です。

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特別な技術が要らず、手軽に使えて便利、

安全性も高いため、誰でも簡単にできます。

熱の強さも選べるので、初めての方は一番弱いものから試してみるといいでしょう。

隔物灸(かくぶつきゅう)

さらに面白いお灸があります。

隔物灸といって、スライスした生姜やにんにくの上で艾を燃やし、

温熱効果と生姜などの薬効を狙ったもの。

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生姜灸、にんにく灸、みそ灸、しお灸、びわの葉灸などがあります。

皮膚の上で艾を直接燃やすわけではないので、

一般の方にもとっつきやすいお灸だと思います。

じわっと温まり、非常に気持ちのいいです。

お灸で慢性症状を改善!

このように、いろんなタイプのお灸がありますが、

熱い!と感じるのは、はじめの点灸だけ。

他のお灸はどれも、じわっとした温熱効果をもたらすものです。

お灸は冷えやコリ、循環障害の改善に有効なのですが、

ほとんどの慢性的な症状には、冷えやコリや血液や体液の循環障害を伴います。

お灸をすえると循環障害が改善されるため、身体のバランスを回復する助けになるのです。

基本的に副作用もありませんから、家庭の養生法としておすすめ。

最近は使い方を指導している鍼灸師も増えてきていますから、

機会があればぜひ体験していただきたいですね。

お灸を体験したいけど、どうしたらいいかわからない、

直接教えてくれる人が近くにいないと言う方は、

この本を参考にされるといいとと思います。

また、この台座灸は熱の弱いタイプで、初心者におススメです。