まずは母親の鉄不足を解消する

hahako

まずは母親の鉄不足を改善する

子供の問題について相談を受けるとき、話を聞きながら、むしろお母さんの体質の弱さが気になっています。

とはいえ、治療が必要なのはあなた(お母さん)ですよ!なんていきなり言っても受け入れられませんから、悩ましいところ。

そんな思いを抱えていたところ、藤川先生の本にもちゃんと書いてありました。

以下は、藤川徳美先生の著書『うつ・パニックは「鉄」不足が原因だった』からの引用です。

鉄が不足するとセロトニンやドーパミン、ノルアドレナリンなどの神経伝達が作られにくくなりますので、精神的に頑なになりやすく、些細なことでキレやすくなります。とはいえ、人前や公共の場ではそのような情動があっても、表出する人は稀です。

ところが家庭の中では、こうした感情があからさまになってしまうものです。特に自分の庇護下にあると思っている子どもに対しては、かなりストレートな感情表現として現れやすくなります。

たとえば、すぐに返事をしないとか、宿題が終わっていないとか、些細なことでイライラしたりキレたりして、叱りつけてしまいます。

中には手が出る人もいます。後になって「言い過ぎた」「ひどいことをしてしまった」と自責的になり、落ち込んでしまいます。

家の中がそのような状況だと、子供は委縮してしまいます。怯えながら過ごすような毎日です。

こうした状況が積み重なると、子供の側にも、不登校、チックなどの心身症の症状が現れることもあります。

このような場合、まずは母親の鉄不足を改善することが大切です。

母親の精神状態がよくなることによって、子供の些細な行動も許せるようになります。

もちろん本当に叱らなければいけない時は冷静に叱ることができるようになりますので、子供の状態も落ち着いてくるでしょう。

最近、『うつ・パニックは「鉄」不足が原因だった』を読み返し、その後に刊行された症例集も読みました。

藤川先生の本を読むと、鉄やタンパク質、ビタミンなど基礎的な栄養素の重要性がビシビシ伝わってきます。

とても分かりやすく要点がまとめられている上に、症例がたくさん紹介されているお勧めの本です。

藤川先生は繰り返し、鉄・タンパク不足という言葉を使っていますが、身体の構造と機能を支えるベーシックな栄養素である鉄とタンパク質の不足が心の病をはじめとした多くの病気を生み出していること、そして鉄・タンパク不足を解消することによって、それらを自分で治すことができるということを伝えたいのだと、僕は理解しています。

鉄不足な女性の身体所見

鉄不足が重度の女性は一目見て分かります。

顔色、血色、体つき、姿勢や表情などの身体所見にハッキリ現れるからですが、会話をすると精神面にも表れていることに気が付きます。

なぜなら独特の精神傾向、話し方、反応のし方をするから。

そして不足が解消するにつれて、その傾向は薄れてくるんです。

鉄不足の女性はたくさんいるので鍼灸院でも日常的に接していますが、それを本人に自覚させることは必ずしも簡単ではありません。

また子供の問題を相談される場合、ほとんどは親の栄養不足が原因になっているように見えます。

でも、問題があるのは子供(だけ)だと思っているのでなかなか難しい。

でも、そこ(母親の栄養不足)を改善できれば、おそらく子供の問題も含めて生活全般がずっと楽になると思います。

鉄不足の解消には

具体的な鉄不足解消の方法は、日頃からタンパク質を十分に摂り、鉄分豊富な食材やサプリメントなどで積極的に鉄の補給を継続すること。

順調であれば半年~1年で見違えるように元気になります。

不足の度合いが酷いほど、また歴史が長いほど改善に時間がかかりますが、じっくり継続することで心身の症状は改善してきます。

鉄については過剰症を懸念する医師が多いですが、現実には欠乏している人ばかりで、しかも欠乏によるデメリットが大きすぎると感じています。

特に10代から40代の女性は生理の出血で鉄を失いますから、常に鉄を意識した食生活、栄養摂取が必要だと思います。

鉄を吸収できる身体を作る

ただ、鉄は重要な反面、扱いがデリケートなミネラルです。

キレート鉄など吸収の良いサプリメントを多めに摂取することで短期間に回復する人が少なからずいる一方、なかなか改善しない上に胃腸障害などの不調が出てしまう人もいます。

鉄不足は基本的に摂取量が足りないから起こるのですが、不足の歴史は本人だけでなく、親やその親の代から続いていることが少なくありません。

つまりお母さんもおばあさんも鉄不足で、胎児のころから鉄不足で、生育期間も鉄不足だったから胃腸が丈夫に育っていない。

そのため吸収する力も蓄える力もなく、単に摂取量を増やしてもなかなか改善しないというような状態の女性が、実際に少なからずいると感じています。

そういう場合、単に摂取量を多くしても吸収できないので、吸収力を高めることから始める必要があるでしょう。

たいていは胃腸が弱っていて消化吸収がスムーズにゆかず、吸収しても適切に蓄えられないような体質になっているのですが、これにはタンパク質をはじめとした栄養不足が長期にわたって続いている、という背景があります。

だからサプリメントで不調が出るような人は、焦らず食材ベースで時間をかけて栄養を充実し、じっくり改善していく。

まずは総合的な栄養状態を回復させて胃腸を強くしていくことから始めたらいいと思います。

鉄の吸収

鉄の吸収には、胃の働きと小腸の働きが重要です。

もしも胃が弱かったり小腸粘膜に問題があると、効率よく吸収し、フェリチンとして貯蔵できません。

また、体内のどこかに細菌感染や慢性炎症があると、身体は鉄の吸収を抑制するようです。

それは有害な細菌が鉄を利用して繁殖することを防ぐための仕組みであり、まずは感染症や免疫力の低下を何とかしなくてはなりません。

わかりやすい例では、カンジダ症でかゆみがあるような人が鉄サプリメントを飲むとてきめんに悪化します。(当院の患者さんにも何人かいました)

そういう場合はカンジダの抑制を優先し、それが落ち着いてから鉄の積極的な摂取をするとよいと思います。カンジダ抑制にはもちろん砂糖断ちが必須です。

他にも牛乳、食物繊維、玄米、お茶などを大量に飲んだり食べたりしていると鉄不足を招きます。

鉄の吸収を阻害するものを調べておいて、意識して避ける努力も必要でしょう。

総合的な栄養充実を

このように 鉄のサプリメントを飲んでも改善しなかったり、かえって不調が続いてしまうようなら、胃腸の強化や他の問題にも目を向ける必要があります。

栄養面では、もちろん鉄だけを摂取してもダメ。タンパク質、ビタミンC、ビタミンB、亜鉛などの不足があると鉄の利用、吸収・貯蔵がしくくなります。

ともあれ、鉄が育児世代の女性にとって重要な要素であることは変わりません。

特に生理のある年代の女性は、かなり意識しないと不足してしまいがちなので、普段から鉄の摂取を心がけることをお勧めします。