ウサギ飢餓~タンパク質「だけ」食べ続けると死ぬという話~

usagikiga

タンパク質と血糖値

少し前にタンパク質で血糖値が上がるか、簡単な実験をしました。

タンパク質で血糖値が上がる

2017.03.06

一般に糖質以外では上がらないと言われる血糖値ですが、タンパク質でもある程度上昇するようです。

まぁ、上昇幅は大したことないので、実際問題さほど問題にならないでしょう。

ただ最近、タンパク質の摂取が「インスリン追加分泌を促す」と言われ始めていますから、そっちの方が少し気になります。

2型糖尿病や肥満はインスリンの効きが悪くなる「インスリン抵抗性」と関係があるので、体質によってはタンパク質の摂り方を工夫する必要があるかもしれません。

プロテイン50gの違和感

さて、先の実験の時、はじめに愛用のホエイプロテイン50gを水に溶いて飲みました。

プロテイン50gは、卵8個、牛ロース肉250gと同じいくらいのタンパク質量です。

使ったプロテインは乳糖除去で約90%がタンパク質ですから、タンパク質が血糖上昇に関係するか確かめるのにちょうどいいと思いました。

愛用しているプロテインはこれ。楽道の小西先生が紹介していたものです。

グラスフェッドの原乳から丁寧に作られているようで、半年ほど飲み続けていますが、なかなか良いと感じています。

一回10~20g程度の量を水やお茶に溶いて飲んでいますが、普段は飲んだ後に不調を感じることはありません。

でも実験のために50g一度に飲んだら直後に気持ち悪くなり、強烈な違和感がありました。

この日、仕事の合間に実験していたので、あまり体調が悪くなると困ります。

気持ち悪さを治すため、本能的に、お弁当用に持って来ていたスクランブルエッグ(卵3個分)を追加で食べました。

気持ち悪さは間もなく消失しましたが、この体感は意味があると思った。

以前、マーヴィン・ハリスの「食と文化の謎」に書かれていた、ウサギ飢餓の話を思い出したんです。

ウサギ飢餓

ウサギ飢餓とは、極端にタンパク質「だけ」を食べ続けると、飢餓感が増し、やがて死んでしまうというもの。

「食と文化の謎」には次のように書かれています。

ウサギ飢餓とは、エスキモーやインディアン、アメリカ西部海岸地帯の初期探検者たちの多くが脂気のないウサギの肉を食べ過ぎたためにかかったと考えられていた症状。

ふつうの脂肪量の食事から、急にウサギの肉だけの食事に変えると、最初の数日間、食事の量はどんどん増え、約一週間後には、最初の三倍から四倍食べるようになる。

その頃には飢餓と蛋白毒の症状が出ている。幾度も食事をする。食べても食べても空腹を感じる。

食べ過ぎのために胃がふくれて、気持ち悪くてたまらなくなり、漠然とした不安をおぼえるようになる。

一週間から10日後に下痢がはじまり、脂肪をとらないかぎりとまらない。数週間後、死がおとずれる。(食と文化の謎P47より)

またこれと関連して、次のようにも書かれていました。

あらゆる食物がほとんど底をつく「飢餓期」の最盛期になると、狩猟採集民はしばしば、仕留めた獲物の肉の特定部分を、ときには全部を、食べないで捨ててしまう。

例えばオーストラリアのピチャンジャラ族は、しとめたカンガルーに近づくと、肉に脂肪がどれだけついているか尻尾で調べ、その様子がかんばしくないばあいは、そのまま捨てていく。

この一見不合理な行為に対する説明は、狩人たちが、脂けのない肉ばかり食べていると餓死する危険があるからだ、ということ。(食と文化の謎P46より)

このように、タンパク質ばかりを極端に食べ続けると健康上の危険があると書かれています。

脂ののった肉が好まれる理由

タンパク質は身体の重要な構成要素であり、代謝を主る酵素や遺伝子の材料でもあります。

最も大切な栄養素ですが、エネルギー源としては上手く機能しないようです。

だからタンパク質ばかりを大量に摂取し、脂質や糖質を摂らないでいると「飢餓状態」になって死んでしまう。

世界中の、ほとんどの人類は肉を好んで食べますが、特に好むのは「脂がのった肉」でしょう。

牛や豚、鶏などの家畜は、脂肪の含有量を高めるために穀物を与えられていますが、それは多くの消費者が脂ののった肉を好むから。

現代の畜肉は、だいたい30%程度の脂肪を含むように飼育されています。

これに対して、アフリカの野生動物の体脂肪率は4%にも満たないんだとか。

野生動物(特に暑い地域)では体脂肪率が低いことが多く、狩猟採集民族であっても獲物の肉をバナナやイモなどの炭水化物を一緒に食べていたりします。

それは生存上、必要があってのことなのでしょう。

つまり極端にタンパク質ばかり食べていると健康を害し、最悪死んでしまうということ。

僕が50gのプロテインを飲んだ時に感じた強い違和感は「そういう食事は良くない」という身体の声だったかもしれませんね。

すぐに少量の脂(卵の黄身と調理に使ったラード)を加えたら、その声は静まりました。

参考文献

「食と文化の謎」マーヴィン・ハリス 著