乳製品断ち
毎日牛乳や乳製品をたくさん摂取する習慣があって、
原因不明の体調不良を抱えている人は、
「2週間の乳製品断ち」を試みるといいかも。
今日は、カゼインアレルギーについて書きます。
カゼインアレルギー
妻は少し前に、乳製品断ちを試みていました。
期間は2週間、、それには理由がありました。
カゼインに対するアレルギーの有無を確認したかったからです。
カゼインとは、乳製品に含まれているタンパク質のこと。
(詳しくはこちら→牛乳の成分)
一般的なフードアレルギーは「即時型」と呼ばれ、アレルゲンとなるものを食べたらすぐに症状が出ます。
ですから本人も、どの食品にアレルギーがあるか自覚していることが多い。
しかし、それとは違う「遅発型」と呼ばれるフードアレルギーがあって、時間が経ってから症状が現れるので自覚しにくいのです。
グルテンフリー健康法
そのそも妻の乳製品断ちは、溝口徹先生の著書、
『2週間で体が変わるグルテンフリー健康法』を読んだことが発端でした。

グルテンは小麦に含まれるタンパク質です。
グルテンがアレルゲンとなる「グルテンアレルギー」によって体調を崩している人が少なからずいて、
グルテンを摂らない「グルテンフリー」を実践したら健康状態が良くなった、、という話も最近よく耳にします。
この「グルテンアレルギー」が「遅発型のフードアレルギー」なのですが、
『2週間で体が変わるグルテンフリー健康法』の中では、小麦以外にもう一つ、多くの人が知らずにアレルギーになっている食品があると書かれていました。
それが、、乳製品。
溝口先生のクリニックでは、小麦製品と乳製品を一定期間除去することで健康状態が劇的に改善する患者さんがいるそうです。
カゼインの害とは
カゼインとは乳製品に含まれるタンパク質のこと。
牛乳のタンパク質は約8割がカゼイン、残りの2割がホエイです。
一説に、乳製品のカゼインには小麦のグルテン同様、さまざまな害があると言われています。
その害とは、
腸の炎症を引き起こす
脳内で麻薬様物質に変化する
老化や慢性疲労の原因になる
などなど。
そもそも遅発型のフードアレルギーは、毎日食べ続けている食品に対して起こることが多い。
カゼインについては、学校給食で否応なしに牛乳を飲まされることも影響しているのでしょう。
小麦のグルテンは脳に麻薬のような作用をするため、強い依存性があると言われていますが、グルテンとよく似た構造を持つカゼインにもグルテン同様の依存性があると書かれていました。
牛乳や乳製品がやめられない!という声は実際によく聞きます。
妻も「牛乳断ち」に苦しんでいました。
これは乳糖の糖分を欲していただけでなく、カゼインの依存性も関与していたかもしれません。
カゼインアレルギーの症状
グルテンやカゼインのアレルギーでは、次のような症状が現れます。
慢性疲労
頭痛や肩こり
関節痛
腹痛や下痢、便秘などの胃腸症状
つい食べ過ぎてしまう
胃もたれ
お腹が張る
アトピー、ぜんそく、花粉症などのアレルギー
肌荒れや乾燥肌など皮膚のトラブル
精神的に不安定(イライラや集中力の低下)
重い生理痛や生理不順(女性の場合)
もし、毎日牛乳や乳製品をたくさん摂取する人にこれらの体調不良があれば、カゼインアレルギーかもしれません。
乳製品を2週間断ってみる
カゼインアレルギーかどうかは、血液検査で「IgG抗体」の値を調べればわかりますが、もっと簡単に確かめる方法もあります。
それは「カゼインを食生活から抜いてみる」という単純なもの。
「チャレンジテスト」と呼ばれるこの方法は、2週間、食事から完全にカゼインを除去します。
カゼインが含まれる代表的な乳製品は、牛乳、ヨーグルト、生クリーム、チーズなど。
ちなみに、バターはほとんどが脂質で、乳タンパクとしての抗原性が少ないので食べても大丈夫です。
2週間完全に「乳製品断ち」を行って体調が大幅に改善するようなら、、また元に戻してみる。
元の食生活に戻して体調不良が再発するようであれば、カゼインアレルギーである可能性が高い。
この単純なテスト、小麦のグルテンアレルギーについても同じように使えます。
腸を強くすることがカギ
グルテンやカゼインのアレルギーについて書くと、あたかもグルテンやカゼインが悪いものであるかのような錯覚を覚えます。
小麦のグルテンについては品種改良のしすぎでタンパク質の組成が変質した、、と言われていますが、乳製品のカゼインはどうでしょうか?
そもそもカゼインは乳タンパクなので、ヒトの母乳にも含まれています。(牛乳と全く同じではない)
ミルクは本来乳児の飲み物ですが、1万年近く前から乳製品を主食にして生活してきた民族がいることを考慮すると、そう悪いものだとも思えません。
しかし実際にアレルギー反応を起こしたり、依存状態になって体調を崩す人がいる。
考えられる原因の一つは、腸が弱っていることです。
胃腸機能が十分に強くてタンパク質を完全に消化してから吸収したならば、フードアレルギーは起こりません。
フードアレルギーは、体内(血管内)に侵入したタンパク質に対して起こる反応だからです。
砂糖の摂りすぎ、栄養不足、過度のストレスや不摂生、腸内細菌叢の劣化など、さまざまな要因から胃腸機能が弱くなるとアレルギーは起こりやすくなります。
先に紹介した溝口先生の本にも、一定期間アレルゲンを除去して栄養状態が改善し腸の機能が健全化してくれば、小麦製品や乳製品を食べられるようになると書かれていました。
小麦や乳製品など一般的な食品に対してアレルギーを起こしてしまう背景には、腸の弱さが関与していると思われます。
乳製品の質
もう一つ、乳製品については「質」の問題も影響していると思います。
飼育方法では、エサや抗生物質などの薬品の使用について問題にされることが多いようです。
牛の血液から作られる牛乳は、牛が食べたものがそのまま成分となっていると考えても大きな間違いではないでしょう。
もし人体にとって「毒」となるものが含まれていたら、何らかの拒絶反応が起きてもおかしくありません。
また、高温殺菌やホモジナイズなどの牛乳を加工するプロセスで乳タンパクであるカゼインが変性し、より消化し難いものになっている可能性がある。
タンパク質は一般に、加熱しすぎると消化吸収しにくくなります。
茹で卵は固ゆでが一番消化に時間がかかりますし、お肉なども焼きすぎると硬くなり消化吸収しにくくなります。
このように考えると「飼育方法や製造方法にこだわった質の良い牛乳・乳製品であればアレルギーは出ないのではないか」という意見も、個人差があると思いますが、一理あるでしょうね。
「カゼインアレルギーだけど質の良い牛乳や乳製品なら問題が起きない」という方がいたらぜひ教えてください。
参考文献
『2週間で体が変わるグルテンフリー健康法』溝口 徹 著 (青春出版社)