シナモンの危険性

sinamon

シナモンで糖尿病が改善する!?

血糖値の上昇を抑えるスパイスとして、シナモンが注目を集めているようです。

シナモンのサプリメントも売られていて、糖尿病に効果があるなどと言われています。

でも、これを使うのはやめたほうがいいでしょう。

シナモンには肝臓障害を引き起こす毒性があるからです。

シナモンは、ケセイロンイヒカシアという2種類の植物が原料になっています。

これらは違う植物ですが、スパイスとしてはどちらもシナモンとして流通しています。

シナモンの香りの成分であるクマリンには、肝臓毒性があります。

このクマリンは、特にカシアを原料としたシナモンにより多く含まれていて、グラム単位で日常的に摂取すると肝機能を損なうリスクがあります。

ごく少量、料理に香り付けで使う程度なら問題ありませんが、糖尿病の改善や血糖上昇を抑える目的で毎日グラム単位で摂取するとしたら危険です。

特にサプリメントは成分が濃縮されているため、使わないほうがいいと思います。

シナモンに含まれるクマリンの毒性

シナモンは、古くから使われている香辛料ですが、その香りの成分「クマリン」に肝障害を引き起こす毒性があることが分かっています。

ドイツ連邦リスクアセスメント研究所(BfR:Bundesinstitut fur Risikobewertung)は、シナモンの過剰摂取は健康リスクを否定できないとして注意喚起しています。

ドイツではクマリンに対して、許容摂取量の基準が設けられています。

ドイツの基準では、体重1キロ当たり0.1mgが一日許容摂取量で、それを超えると肝障害を引き起こすリスクがあるとされています。

ドイツのBfRがシナモン中のクマリンについて警告

一説に、シナモンが糖質をを分解する酵素の働きを阻害し、血糖上昇を抑えると言われています。

これを知って、糖尿病の改善やダイエット目的で使う人が増えていて、ネット上にも「シナモンの効果」を宣伝する記事がたくさんあります。

そして、長期にわたるグラム単位での摂取が勧められています。

また、シナモンは漢方薬にも使用されています。

医療用漢方の3割以上、48の製剤に含まれていますが、そのうち約30種類は何らかの臓器障害の原因になっています。

(※健康食品中毒百貨p.232より)

漢方薬は肝障害を引き起こすことがありますが、様々な生薬が同時に配合されているのでどの成分が肝障害を引き起こしたかを厳密に特定することは難しいようです。

しかし単独で毒性を示す桂皮(=シナモン)を使用している漢方薬には肝障害のリスクがあるでしょう。

ちなみに、医療用漢方薬に含まれる桂皮の一日量は、最大で4g。

4gを含む製剤には以下のものがあります。

安中散、桂枝加朮附湯、桂枝加苓朮附湯、桂枝加竜骨牡蠣湯、麻黄湯、桂枝加芍薬湯、桂枝人参湯、黄耆建中湯、小立中湯、桂枝加黄耆湯、桂枝加葛根湯、桂枝加厚朴杏仁湯、、などです。

自己判断による安易な漢方薬の服用をするべきではありません。

当院の患者さんでも、桂皮の含まれる漢方薬を自己判断で飲み続け、健康診断で肝機能の問題を指摘されている人が今までに何人かいました。

シナモンの原料

シナモンの原料となる植物は、主に2種類あります。

一つはセイロンケイヒ、でもう一つはカシアと呼ばれる植物です。

どちらが原料でも「シナモン」として売られていますが、成分は同じではありません。

セイロンケイヒのシナモンは香りが良く、味がマイルドなのが特徴で、カシアよりも高級品です。

カシアは、セイロンケイヒよりも刺激的な香りで辛みがあり、和菓子の八つ橋やニッキ飴に使われています。

日本や中国では桂皮(ケイヒ)と呼ばれ、ニッキ、ニッケイとも呼ばれていますが、この原料はカシアです。

有害成分であるクマリンはセイロンケイヒよりも、カシアにより多く含まれています。(約40倍~400倍)

ですから日常的に摂取して健康被害の可能性があるのは、カシアを原料としたシナモンでしょう。

産地によるクマリン含有量の違い

カシアにはベトナム産、中国産、マレーシア産、インドネシア産などがあり、クマリンの含有量は産地によっても大きく異なります。

東京都の福祉保健局の調査を参考にすると、産地・種類によるクマリン含有量には大きな差があるようです。

シナモン1gに含まれるクマリンの量

ベトナム産       5.4mg

中国産         0.58g

インドネシア産     1.9mg

マレーシア産      1.3mg

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セイロンケイヒ   0.014mg 

(※シナモン含有食品のクマリン分析法及び実態調査 より)

ドイツBfRの一日許容摂取量は、体重1㎏ 当たり0.1mgです。

例えば、体重50㎏の成人の許容摂取量は5mgになります。

もし、体重50㎏の人が1グラムのベトナム産シナモンを摂取したら、、

クマリン一日許容摂取量を超えてしまうことになります。

市販の菓子に含まれるシナモンの量と危険性

シナモンが含まれる市販の食品についても、東京都福祉保健局のPDFに書かれていました。

これによると、シナモンが使われている市販の食品の摂取許容量は、

ビスケット 1,100~3,100g

焼き八つ橋      62~130g

生八つ橋          200g

ニッキ飴         1300g

シナモンベーグル      390g

これは、具体的なお菓子の枚数や個数にすると、

ビスケット     130~970枚

焼八ツ橋        14~29枚

生八ツ橋           29枚

ニッキ飴          284粒

シナモンベーグル        4個

一日にこれだけ食べればBfRの許容摂取基準量に達しますが、、普通はこんなに食べませんね。

このように通常の食品からのシナモン摂取では肝障害の心配はなさそうです。

しかし糖尿病の改善ダイエット、などの目的でシナモンを大量摂取するとしたら、許容量を超えてしまうことがあるんじゃないかと思います。

シナモンサプリに注意

サプリメントとして摂取する場合は簡単に許容量を超えてしまう可能性があります。

東京都の調査では、シナモンサプリメントに含まれるクマリンの量は、サプリメント1g中に、平均して2.6mgありました。

サプリメントに記されている一日摂取目安量の摂取では許容量を越えませんでしたが、

サプリメントと一緒にシナモンを使った食品を食べる

サプリメントをメーカーの推奨する目安量より多く摂る

このようなことをすれば、簡単に許容量を超えてしまいます。

またこの調査で市販のサプリメントからは、セイロンケイヒを材料としていると書かれているものからも高濃度のクマリンが検出されました。

おそらく、原材料にはカシアが含まれていると思われます。

カシアの方が原材料として割安なので、成分を抽出するためには安い方を使うのでしょう。

シナモンのサプリメントの服用には、注意が必要だと思います。

血糖上昇を抑える方法

糖質制限が認知されるとともに糖質を食べながら血糖値を上げない方法がいろいろと言われるようになりました。

しかし、どの方法も本当に糖質過剰摂取の害を防げるとは、僕には思えません。

仮に糖質の消化吸収を阻害し、血糖上昇を緩やかにできたとしても、

吸収されずに腸に残った過剰な糖質は、腸内細菌叢を乱すのではないか。

また、虫歯や歯周病の原因、甘味による味覚や脳のダメージ、胃腸機能の低下などは血糖値が上がらなくても起こりうる問題です。

安易な逃げ道を作らず、食べる糖質を減らす。

それが一番安全で、確実な方法だと思います。

参考文献

「健康食品・中毒科百』内藤 裕史 著 (丸善株式会社)

参考にした情報・サイト

シナモン含有食品のクマリン分析法及び実態調査(2016.7.23)

東京都 食品安全情報サイト(2016.7.23