タンパク質は少なめがいい?
タンパク質の摂取量については様々な意見があります。
最近は糖質制限の世界でも「タンパク質は少なめ方が良い」という意見が出てきました。
インスリンを過剰分泌させるという話や、ガンの原因になるという情報があります。
僕は研究者じゃありませんし科学的なことは詳しくわかりません。
でも現場にいる人間として、はっきり感じていることがあります。
それは「慢性的な症状を抱える人のほとんどはタンパク不足であり、それを改善しないと良くならない」ということ。
タンパク質は一般的に、体重1キロ当たり1gと言われています。
でも、成長期や回復期には必要量が高まり1.5~2g程度必要だと考えています。
もちろん個人差がありますし、そんなに食べれない人もいますので、あくまで一般論として。(無理して食べるのはやめてくださいね)
ちなみにタンパク質1gというと「肉などの食品1g」だと思う人が少なくないようですが「食品に含まれるたんぱく質の量」のことですからね。
例えば卵1個には6.5g、鶏もも肉100gには16g、牛ロース100gには20g程度のタンパク質が含まれています。
100gのタンパク質を摂るには
例えば、体重50キロの人が50×2g=100gのタンパク質を摂るためには、
卵 16個
鶏もも肉 625g
牛ロース 500g
これくらいの量を食べる必要があるということになります。
もちろん動物性食材以外のもの、米や小麦や野菜や豆類にもタンパク質は含まれています。
でも身体が必要としているアミノ酸の質を考えると、動物性食品ベースで、豆などは補助的に考えた方が良いでしょう。
タンパク質○○gというとき「質の良いタンパク質○○g」と言い換えたほうがより正確です。
ちなみに身近な食材で最も質の良いタンパク質は、卵のタンパク質だと言われています。
肉などの食材と組み合わせて卵を使うようにすると、アミノ酸の利用効率が高まると思います。
1キロ当たり1gは健康な人に必要な量
一般的に言われる「体重1キロあたり1g」という数字は、健康な成人が身体を維持するために必要な「最低量」だと思う。
十分に健康で代謝効率が高い人なら、もう少し少なくても健康を維持できるかもしれません。
でも、病や栄養不足からの回復期、成長期、そして妊娠中など栄養の必要量が多くなる時期にはその1.5~2倍のタンパク質を必要とするはず。
これは栄養療法の専門家も言っていることですが、僕自身や家族の体験に加えて、日々患者さんと関わる中で感じていることです。
なにしろ、タンパク質十分な人と少ない人とでは明らかな違いがある。
それは、ほとんど見た目でわかるような違いです。
タンパク不足の身体所見
慢性的なタンパク不足は、ちょっと見ればだいたいわかります。
皮膚や筋肉、関節、髪の毛、爪などの状態によく現れますし、顔色や全身の色つや、活力、疲労感、冷え、浮腫み、胃腸の弱さ、免疫力の低下などとしても現れます。
わかりやすいのはやつれた感じの人。
他に、年齢よりも老けて見える人、姿勢の悪い人、肥満の人なんかもタンパク質不足の可能性があります。
タンパク質は筋肉や骨格の材料であると同時に「酵素」として代謝を主っているもの。
ですから、タンパク質が足りなければ食べ物を効率よく消化吸収できないし、十分なエネルギーも生み出せません。
もし今、皮膚や筋肉や関節が衰え、代謝が低下し、心身の機能が低下しているなら、タンパク不足の可能性があります。
僕は患者さんの様子からタンパク不足を感じたら、食事の内容を聞くようにしています。
何をどのくらい食べているか、食べてきたか、いちいち聞いて確認しているんです。
口頭での聞き取りですから正確性には欠けますが、大まかな傾向はつかめる。
やはり弱っている人のほとんどは、あまり食べてないんです。
タンパク質と健康レベル
そして僕の提案を聞き入れてタンパク質を積極的に食べるようになった人は、体調や皮膚や体の状態が目に見えて変わってきます。
タンパク不足の人は健康レベルが一様に低いというのが、現場の実感です。
健康レベルが低いとは、代謝が低下して身体が弱り、機能低下しているような状態。
いろんな説、理屈がありますが、
「子供の発育のため、大人の健康維持のために、タンパク質は日頃から質・量ともに積極的に摂る必要がある」
特に栄養欲求が高まる時期にある人は積極的に摂ったほうが良いと考えています。
量の目安は、体重1キロ当たり1.5~2g程度。(※肥満の人は余計な脂肪を差し引いて計算したほうがいいでしょう)
体重50キロであれば75~100gになります。
人によって、この量を摂るにはプロテインを使う必要があるかもしれません。
でも、胃の弱い人はプロテインも受けつけないことがあります。
そういう時は焦らず、ムリなく摂れる量から始めて、じっくり回復していけばいいでしょう。
消化力が高まるとともに食べられるようになってくるはずですから。
また、食後に強力ワカモトなどの消化酵素を使うと、タンパク質の消化を助けてくれますよ。
他に、鶏がらスープを飲んだりゼラチンを使ったり、消化の負担にならない工夫をしながらタンパク質摂取を心がけると良いと思います。
ここのところ「血糖値が上がる」とか「ウサギ飢餓」とか続けて話題にしましたが、だからと言って安易にタンパク質を控えることは得策じゃないと考えています。