デトックスハーブ
体内に重金属をため込んでいるため、代謝が高まらない人がいます。
水銀や鉛、カドミウムなどの重金属が体内に入ると、亜鉛や銅など本来代謝の補酵素として働くミネラルと置き換わってしまい、代謝低下や免疫力の低下につながります。
また、重金属が蓄積した部位は細菌やウイルスによる感染を起こしやすくなるため、免疫力の低下にも関係しているようです。
原発事故で気になる放射性物質も金属製の元素であり、身体が必要とするミネラルと間違って吸収されます。
これを内部被曝と呼びますが、体内に放射性物質が入ると絶えず活性酸素を発生させるため、細胞や遺伝子を傷つけてしまうのです。
日本人は魚介類の摂取が多いため、水銀の蓄積が多いことが分かっています。
また、コメに含まれるカドミウム、古い水道管から鉛、調理器具や食品添加物に含まれるアルミニウムなど、身体に悪影響のある金属類の危険は身近な問題です。
なるべく摂り込まないようにすることが重要ですが、完全に避けることは難しいため、体外に排泄すること、つまりデトックスも重要。
近年、これらの重金属のデトックスに有効だとして、あるハーブが有名になりました。
そのハーブとは、パクチーです。

パクチーが水銀の排泄を促す
パクチーには水銀などの重金属をキレート(※安定した化合物にすること)し、体外に排泄させる作用があります。
パクチーはセリ科の野菜で、コリアンダー、シラントロ、中国パセリなどとも呼ばれています。
独特の香りがあり、ベトナム料理やタイ料理には欠かせない香味野菜ですね。
このパクチー、特に葉の部分が天然のキレート剤として高い効果を持っていることがわかり、注目されています。
上の写真は我が家の家庭菜園に、春播きしたもの。
あんがい育てやすくて、美味しくいただきました。
今は収穫時期を過ぎて、花が咲いています。(種を取るつもり)

買うとけっこう高いですが、家庭菜園やプランターで育てればたくさん食べることができますね。
ちなみに、パクチー栽培は秋播きした方が長期間収穫できるようです。
パクチーに関する研究
パクチーが重金属の排毒に役立つという話は、ニューヨークで国際鍼電気治療大学を創設した日本人、大村恵昭博士の研究が元になっています。
大村博士はオーリングテストの考案者として有名な人ですね。
大村博士は、感染症の治療で抗生物質が効きにくい患者の身体に重金属の蓄積があることを発見しました。
感染症の患者に抗生物質の集中的に投与して一時的に良くなっても再発してしまう場合、体の局所に感染が残っており、その部分には重金属が高濃度に蓄積していた。
組織に蓄積した重金属が何らかの理由で薬の効果を妨げ、病原菌やウイルスの感染に関係していたようです。
こういった患者の治療には、抗生物質と同時に重金属の除去が必要でした。
その後、偶然パクチーが入っているベトナム料理を食べた患者の尿から、水銀の排泄量が増えていることがわかりました。
詳しく調べたところ、パクチーを食べると水銀の他、アルミニウムや鉛の尿への排泄量もふえることが明らかになった。
そして、パクチーを抗生物質と一緒に使うと感染が除去されたということです。
以下、「ココナッツオイルプリング」(ブルース・ファイフ著)という本からの引用です。
大村博士の調査によると、コリアンダーを通常の料理に使われているように大匙約一杯分、毎日3週間食べることで体内から有害な金属の蓄積が取り除かれて、薬が効果を発揮するのに十分でした。コリアンダーの浄化効果は消化管に限らず、肺、腎臓、内分泌器官、肝臓や心臓など体全体から有害な金属が取り除かれました。
またパクチーは、歯科金属のアマルガムを除去するときにもキレート剤として役立つようです。
歯科医師はアマルガムを除去する際、患者が水銀蒸気や切削片を吸い込まないように注意します。バキュームを口の中に入れて水銀が喉から入っていかないよう、頻繁に吸引して洗浄します。こうした注意を払ってもアマルガム除去後の体内の水銀量は上昇します。大村博士は、患者がアマルガムを除去したあとコリアンダーを2~3週間食べ続ければ水銀を効果的に除去できることを実証しました。博士はアマルガムを除去する時のように大量の水銀に晒される場合は、より多くのコリアンダーを一日数回食べるよう勧めています。アマルガムに関する博士の研究では100mgの粉末状コリアンダーカプセルが一日4回服用されました。
「ココナッツオイルプリング」は植物油を使ったうがいによる口腔ケアについて書かれた本ですが、歯科金属のアマルガム(水銀の化合物)との関連でこの話が紹介されていました。
これ、白澤卓二先生の翻訳でとても面白い本です。
解毒力を高めるために
以前、含硫アミノ酸のデトックス効果について書きました。
水銀などの重金属の排毒にはメタロチオネインというタンパク質が重要な働きをしています。
だからタンパク不足では排毒能力も低下してしまうと考えられる。
そして不要な重金属類を体内に摂り込まないためにも、日頃からミネラル類全般を十分に摂っておく必要があります。
解毒や排泄に重要な内臓は、主に肝臓、腎臓、そして腸です。
栄養不足があるとこれらの器官も機能が低下しますから、栄養充実がまず大切。
重金属の排泄経路はいくつもありますが、一つは胆汁を介して大便から排泄せつされます。
食事で脂質の摂取量が多いと胆汁の分泌も活発になるので、重金属の排毒にもつながるでしょう。
胆汁は肝臓で合成されて小腸に分泌され、脂質の消化に役立っています。
分泌された胆汁は『腸肝循環』によってほとんどがリサイクルされていますが、食物繊維に吸着させることで、より多くを大便として排泄することができるはず。
つまり、重金属のデトックスには、高タンパク高脂質の食事と適量の食物繊維が有効だと思われる。
それに加えて、パクチーのようなデトックス効果のあるハーブを使えば、効率的に重金属をデトックスできそうです。
マグロやクジラを頻繁に食べる人や、歯の治療でアマルガムが入っている(いた)人などは、特に意識してみると良いでしょう。
ちなみに香辛料として売られているパクチー粉末は種子を使っているのが多いですが、デトックス効果は葉の方が高いようです。
探してみたら乾燥したパクチーリーフも売っていますね。これなんかいいかも。
パクチーの香りが苦手な人は、粉末状のパクチーリーフをカプセルに入れて飲むと良いかもしれません。
空のゼラチンカプセルもネットで買えます。
毎日生のパクチーを食べるのも大変ですが、こういうものをうまく使えば無理なくデトックスができそうですね。
参考文献
『ココナッツオイルプリング』ブルース・ファイフ著