吉田家訪問
先日、愛媛の愛南町に吉田裕史さんを訪ねました。
吉田さんは『媛っこ地鶏』という肉用鶏を飼育している養鶏家です。
去年、息子が満1歳の誕生日を迎えたとき、お祝いに食べたのが吉田さんの鶏。
とってもおいしい地鶏です。
吉田さんとは、だいぶ前からフェイスブックで交流があったのですが、実際にお会いしたのはこれが初めて。
まだ20代かな?好青年です。

今回、吉田さんのご厚意で鶏の飼育環境、餌作りや餌やり、出荷、屠畜、解体、精肉、発送業務などを見学させていただきました。
僕は神奈川の藤沢に住んでいますが、吉田さんの養鶏場は愛媛県愛南町にあります。


実は見学をお願いした時、愛南町がどこにあるか正確に知りませんでした。
国内ならどこでもすぐに行けるだろうと高をくくっていたのですが、、けっこう遠い(笑)
陸路だと900キロくらいあります。

あれ!?どうやって行くんだろう??
と思って調べてみると、飛行機で羽田~松山空港、そして車で愛南町まで行くのが一番早そうなルートでした。
早速、航空券の手配をし、レンタカーの予約をし、2泊3日の日程で吉田家に滞在させていただきました。
四国は初めてでしたが、松山から車で走り始めるとなんとなくさわやかな気分。
どうやら愛媛の気候は自分に合うようです。
行く途中に見た景色


カーナビを頼りにどんどん走り、松山空港から2時間半くらいで愛南町に到着しました。
それからの3日間、見るもの全てが楽しくて新鮮でした。
今日から何回かに分けて、滞在中の体験を書きたいと思います。
媛っこ地鶏
カーナビの案内に従って、愛南町の吉田家付近に到着したものの、、そこは山の中。
目印になりそうなものを見つけて車を止め「近くまで来ています!」とメッセージを送ると、、すぐ目の前が養鶏場だった。
養鶏場独特の臭気や騒がしい感じが全くないため、目の前にあっても気づきませんでした。
吉田さんと挨拶を交わし、さっそく鶏舎の見学です。

姫っこ地鶏

鶏は日齢ごとにいくつかの鶏舎に分けられ、飼育されています。
だいたい100日~120日程度の日齢で出荷されるとのこと。
同じ鶏舎の鶏でも生育に差が出るので、大きくなった鶏から順に出荷していくそうです。
普通、雄鶏の方が早く成長します。
訪問した時、一番大きな鶏は120日齢くらいでしたが、先に大きくなった雄鶏から出荷しているせいか コケコッコー!!と鳴く鶏はあまりいませんでした。
(※コケコッコー!と「時」を作るのは雄鶏だけ)
養鶏場というと臭いイメージがあるんじゃないでしょうか?
でも、ここは悪臭がなく、エサに使っている発酵飼料の甘い匂いがしました。
鶏小屋の床はサラサラしていて、乾いた砂か土のようになっています。
養鶏では床の管理が重要なんですが、乾燥気味に管理すると雑菌の繁殖を抑えられると教えてくれました。
吉田さんのところでは過密飼育をせず(1平米2~3羽程度)餌や飼育環境の工夫によって病原菌や腐敗菌の繁殖を防ぎ、基本的に抗生物質などを使わずに飼育しているとのこと。
ただし薬使用の是非については、単純に使わないから安全とは言えないそうです。
病気が出ても放置するのか、、ということを考えれば、その意味は少しわかりますね。
また、飼育密度が高くなるほど薬剤の必要性が増しますが、安く生産できます。
肉の価格を含めて、誰に向けて、どのような生産をしたいのかで変わってくることでもある。
これは消費者側からは、なかなか気づけない視点だと思いました。
見るからに健康そうな鶏たち

鶏舎の周囲は森に囲まれ、下には清流が流れています。
餌や飼育の仕方だけでなく、周辺環境の良さも、吉田さんの鶏のおいしさの理由なんじゃないかと思いました。

愛南町の人にとっては当たり前かもしれませんが、、神奈川育ちにとってこの環境は清浄すぎます。
近くの用水路、、ここでイノシシの解体をしたこともあるそうです。(吉田さんは猟師でもある)


さて、案内されて僕が鶏舎に入ると、、鶏たちは明らかに警戒しています(笑)
知らないヤツが来た!!と思ってるんでしょうね。

普通、養鶏場の中には入れてくれないことが多いようです。
主に防疫(病気の予防)が理由ですが、素人が入ると鶏がパニックを起こして圧死してしまうことも理由なんだとか。
見学を断ると「何かやましいことがあるに違いない!!」と思う人もいるようですが、、そういうことじゃないらしいです。
特に飼育密度の高い養鶏場では、パニックになった鶏の圧死が簡単に起こります。
鶏舎の中では、ゆっくり動かないと鶏がビックリします。(鶏はとても臆病)
滞在中に餌やりなどの作業をさせてもらいましたが、うっかり勢いよく立ち上がったりすると、鶏が声を立てて逃げまどいました。(ごめんなさい!)
僕も鶏を飼っているので扱いには慣れているつもりでしたが、広い環境でたくさんの鶏がいる場合は勝手が違うようです。
鶏舎を一周したあと、吉田さんの愛犬「メンチさん」とご対面。

メンチさんのことは、Facebookで知っていたのでうれしかった。
この後、吠えられましたけど(笑)
吉田家ではメンチさんの他 もう一匹、猟犬を飼っていて、地域の猟師と一緒に狩猟も行っているそうです。
この後、倉庫で長い時間立ち話しました。

吉田さんとは、ブログを書き始める前からFBで交流がありました。
僕が2年前に鶏を飼い始めた経緯などもだいたいご存知。
僕も吉田さんのウォールはいつもチェックしていたので、初対面とはいえ話が弾みました。
あ、、でも、吉田さんけっこう聞き上手で、僕が勝手に話している場面も多かったかな(笑)
滞在中は、吉田家に泊めていただきました。
吉田さんお母さんは、なんと妻のブログを読んでくれていました。嬉しいですね。
ブログを通して我が家の育児の様子なども知っているので、やはり初めて会った気がしない。
こういうのは、ブログやSNSの楽しいところですね。
鶏の捕獲
この日は晩御飯をご馳走になった後、翌日の出荷準備のため鶏の捕獲に同行。
出荷する鶏の捕獲は、夜間に行います。
暗くて鶏がおとなしい時間帯に、翌朝処理場まで搬送する鶏を捕獲し、カゴに入れておくんです。
鶏は暗くなると寝ますが朝は早起きですから、出荷日の朝に捕獲すしようとすれば暴れて大変。
そこで出荷前夜、寝ているところを捕獲することにしたそうです。
ちなみに夜でも、満月の日は鶏が寝ないので大変なんだとか。
明るいからなのか「月の魔力」で興奮するのか、、満月の夜に自分の鶏の様子を見てみたいと思いました。
今は家から離れたとこで飼っているので、夜はほどんど見に行ったことがないんです。
鶏の捕獲、、ペンライトを持った吉田さんがそおっと近づき、捕まえて、出荷用のカゴに入れます。
鶏は少しだけ鳴きますが(びっくりして)、カゴに入れるとすぐにおとなしくなりました。
今回の訪問、出荷業務に合わせて日程を組んでいただきました。
食肉用の養鶏で、飼育環境はもちろんのこと、どのように出荷され、屠畜・解体され、精肉されているのか、、一般人がそれを知る機会はめったにないと思います。
ご厚意で一部始終を見学させていただくことが出来ましたが、非常に貴重な体験でした。
なかなか十分に分る、、という訳には行きませんが、養鶏に対する理解が深まったと思います。
写真は、捕獲した鶏を鶏舎から運び出して軽トラに積んだところ。
このまま翌朝まで、おとなしく寝るそうです。


鶏の捕獲作業終了後、吉田家に戻り夜遅くまで話し込みました。
養鶏のこと、肉の販売のこと、地域での生活のこと、ブログのこと、鍼灸のことなどいろいろ。
そして一宿一飯の恩義じゃないですが、吉田さんとお母さんに鍼灸治療もさせてもらいました。
農作業は腰を酷使するせいか、お二人とも腰痛持ち。
こういう時は鍼灸が役立ちますね。
鍼は「痛そう」と敬遠されることも多いんですが、吉田さんもお母さんも鍼灸には慣れていました。
忙しい中仕事を見学させてもらい、泊めていただき、滞在中の食事までご馳走になる、、。
お世話になりっぱなしの状況で、少しでもできることがあってよかったです。(技術持ってて良かったと思う時)
さて、、翌朝は朝6時から鶏の出荷です。
食鶏の処理場に同行し、屠畜・解体・精肉などの作業を見学させていただきました。
2日目につづく→ 吉田家訪問2日目