質的な栄養不足
飽食の現代ですが、多くの人が『質的な栄養不足』に陥っています。
質的な栄養不足とは、カロリーだけが過剰で、他の栄養はぜんぜん足りていない状態。
他の栄養とは、タンパク質、脂質、ビタミン、ミネラルなどです。
これは砂糖や精製糖質の摂りすぎ、肉など動物性食品摂取量の少なさが原因しています。
『飽食の現代人に栄養不足なんてない』と思う人が多いようですが、実際に観察してると、ほとんどの人が栄養不足。
べつに有名な先生の真似をしてるわけじゃなく、臨床やってれば誰でもわかることでしょう。(前提となる知識は必要ですが)
分らない人は単に「見る目」がないんです。
栄養不足は遺伝する
大人になってから栄養不足が慢性化すると基礎代謝が低下し、老化が早まったり慢性病になりやすくなります。
成長期に不足していれば発育が悪くなり、弱い体質になります。
体質と言えば遺伝的な要因が強いと思われがちですが、遺伝情報の完全な発現をもたらすのは生育環境、、特に栄養状態が重要なんです。
もし、栄養不足になるような食習慣のまま子供を育てれば、子供も栄養不足になって当然。
そもそも妊娠中から栄養不足ですから、胎児に与える栄養自体が不足しています。
栄養を与え過ぎると吸収力が落ちる、、などと言う人もいますが、実際には不足で発育が悪くなり、胃腸や内臓が弱くなり、吸収力の弱い子供に育つ。
肉を食べない子供もいますが体質に合わないのではなく、胃腸が弱いのです。
戦後食生活が変わり、砂糖や精製糖質、植物油や加工食品の摂取量が大幅に増えました。
それまでよりもタンパク質摂取量も増えたので体格が良くなり、寿命は全体に伸びましたが、慢性病も増えています。
今現在、平均寿命そのものは80以上ですが、最期まで自力で生活できる人は少ない。
寝たきりや要介護の老人が増え、社会問題になっています。
家族の負担も非常に大きいですし、長生きできても病気じゃつまらないですね。
仮に、戦後に育った僕らの親が「現代的な栄養不足第一世代」とすると、僕らの世代は二代目。
現代的な栄養不足二世代目の多くは、一世代目より状態が悪くなっています。
そして、三世代目はさらに悪くなる恐れがある。
このように、栄養不足は子々孫々遺伝します。
遺伝子による『体質の遺伝』の面もありますが、基本的には、食習慣の伝播です。
でも、二世代目には一世代目になかった利点があります。
それは誰でも情報が得られるようになっていること。
二世代目が自分の問題に気づき、習慣を変えた場合、三世代目でかなり状態が良くなり、完全な回復は四世代目になるでしょう。
栄養充実主義
ブログタイトルには「肉食」という言葉が入っていますが、これは栄養の充実を強調するのが目的。
特に、肉だけ食べることを勧めているわけじゃありません。
僕は肉食主義でも菜食主義でもなく、いわば『栄養充実主義者』です。
特に、成長期や回復期の栄養充実が非常に重要だと考えています。
僕が学んだ伝統鍼灸は「虚を補う」という非常にシンプルなものでした。
病は内臓の精気の「虚」つまり気の不足から生じる。だから、どこに虚があるか見定めて、それを補えば治る。
このような考え方。
栄養充実主義の考え方は、 基本的にそれと同じです。
重要な栄養
充実すべき栄養は、重要なものから順に、
1、タンパク質
2、脂肪酸(脂質)
3、ビタミン・ミネラル
これらに不足があると、生命活動全般が低下します。
これらを食材から十分に摂るためには、
毎日、肉や卵、乳製品を最低400~500g、(大人の場合)
他に、季節の野菜や海藻、豆、発酵食品などを適量摂取すると良いです。
従来の栄養学では糖質が最も重要とされてきましたが、糖質は摂らなくても平気な人がいるくらいで、補助的なエネルギー源だと考えています。
過剰摂取が問題になっていることが多いですから、一般論としては「控えめ」を心がけると良いでしょう。
(※糖質の必要は性別や身体の状態で大きく変わります)
もう一つの栄養素、食物繊維の必用性も個人差があるようです。
一般的には腸内細菌に有益だと考えられていますが、多すぎると亜鉛などの重要なミネラルを吸着して排泄してしまうので注意が必要。
やたらと糠成分や野菜ばかり食べるような人は、ミネラル不足になりやすいです。
また、生の食品から酵素を摂ることを勧める人がけっこういますが、酵素は胃で消化されてアミノ酸に分解されてしまうので、あまり気にしなくてよいでしょう。
人類の進化には火の使用、つまり加熱調理が大きく影響していて、基本的には生ではなく火を通して食べる方が適していると思えるからです。
ちなみにタンパク質、ビタミン、ミネラルが充実していれば、必要な酵素はすべて体内で作ることができます。
それは酵素の材料はタンパク質、ビタミン、ミネラルだから。(タンパク質が主酵素、ビタミン・ミネラルは補酵素)
タンパク質の必用量
タンパク質の必用量は、体格や年齢によっても変わります。
成人男性と閉経後の女性は、一般的な目安量(体重1キロ×1g)が最低ライン
成人女性は生理があるので、それより2~3割多く、
成長期と回復期、妊娠中は1.5~2倍。
大まかですが、このようなイメージで、あとは自分に合わせて調整してください。
体重1キロ当たり、、と言っても、極端に痩せている人や極端に太っている人は、それに合わせて加減して考えます。
平均的な身長で体重が90キロ超えているような場合、過剰な脂肪の分を差し引いて考えたほうが良いでしょう。
体重50キロの女性に必要なタンパク量は?
たとえば、体重50キロの有経女性なら、50×1.3=65g、、という計算になります。(あくまで目安です)
65gというタンパク質量は、だいたい卵なら十個分、肉なら400g分。
タンパク不足の患者さんにこの目安量を話すと「とてもそんなに食べられない!」という人がほとんどなのですが、それだけ日常的にタンパク不足になっていると言うこと。
普段から積極的な肉食の習慣がある人にとって、これはごく普通に食べられる量です。
でも、食の細い人は徐々に増やしていくのが現実的でしょうね。
また消化効率も100%ということはありませんから、その分も考慮した方がいいです。(健康なら9割くらいは消化吸収されるようです)
だいたい食が細いのは胃腸が弱い証拠であり、原因は成長期の栄養不足か、大人になってから栄養不足で消化力が低下したかのどちらか。
回復に伴ってだんだん量も食べられるようになりますが、食べれないうちは消化酵素を併用したりプロテインなどで補うと良いと思います。
僕は独自の食事法を提唱するつもりはありませんが、具体的な方法はMEC食や先住民食の方針がわかりやすく、とても参考になります。