産後の冷え性
産後、冷え性になったという人がいました。
話を聞くと、出産した助産院で肉を食べないように言われたとのこと。
それ以来、なるべく肉を食べないようにしていたそうです。
それが冷えの原因だと思えたので、ちょっと修正しておきました。
具体的には、毎日食べている甘いものをやめて、肉や卵など高タンパクな動物性食品を積極的に食べること。
この方は胃が強そうだったので、半年~1年くらい続ければかなり改善されると思います。
治療だけでは治りません
冷え性の患者さんは頻繁に来ますが『鍼灸だけでは治りませんよ』と話すことがあります。
治らないというのは「完治しない」という意味。
特に栄養不足の兆候が出ている患者さんには、初回になるべくそう説明しています。
単純な話、栄養不足だと生命活動が低下して身体は冷えてきます。
そのような人が、ただ治療を受け続けてもまず完治しません。
これは、温める、運動する、いわゆる「陽性食品」を食べるなどでも同じこと。
運動は良いと思いますが、人によっては逆効果のこともあります。
冷え性を治すには
もちろん、鍼灸や温めるなどで「冷えを伴う症状」の改善はできます。
でも、多くの場合、効果は一時的なんです。
なにしろ自分で熱を生み出せないのですから、またすぐに冷めてしまいます。
外からの刺激で温めても、根本的な解決にはならない。
血液循環の改善が得意な鍼灸は、冷え性の人のためにあるともいえる治療法です。
冷えている人は例外なく血液や体液の循環が悪くなっているので、一時でもそれを良くしてやれば、自覚症状は楽になる。
また、何らかの原因で体力が低下して冷えの症状が出ているとき、回復を促すために「温める」療法は役に立ちます。
でも多くの場合、同時に食生活を見直すことが大切なんです。
産後、授乳しているお母さんなんかは特にそう。
出産と授乳によって栄養の蓄えが失われた上、育児でまとまった休息をとれない状態ですから、普段よりも栄養欲求が高まっています。
なのに、つい自分の食事をおろそかにしてしまうお母さんが多くて、結果、慢性疲労や冷え性になっている。
だから産後は特に、意識して食べる必要があるでしょう。
肉や卵などの動物性食品を十分に食べていると体力が回復し、冷え傾向も改善してくる。
この単純な事実を、僕は何度も体験しています。
運動は栄養の次
冷えの改善には運動も大切です。
筋肉が少ないと基礎代謝が弱くなって、熱を生み出しにくいからです。
でも運動は、栄養不足傾向を治してからのほうが良いと思います。
栄養不足のまま運動しても、消耗してしまうだけだから。
重度の栄養不足さんには「半年くらいしっかりお肉食べてから、軽い運動を始めてください」と提案することが多いです。
冷えは、一種の代謝障害だと思います。
体の中で、エネルギーの代謝が上手く行ってないと冷える。
長期に渡る低タンパク・低脂質の食事
精製糖質の過剰摂取
加工食品ばかり食べる食生活
薬の飲み過ぎ
、、など、生活の中に代謝の低下や障害を起こすような要因があると熱を生み出せなくなり、結果として冷えてくる。
ですから代謝を障害する何らかの要因があれば、食事以外の原因でも冷えが生じます。
でも、大多数の冷え性さんは、タンパク不足や鉄不足などの栄養不足が原因しているように見える。
しかも同時に、糖質ばかり食べていることが多い。
糖質ばかり食べていると、脂質代謝が弱くなることとも関係すると思います。
このような人の場合、やはり、食事を見直すと冷えが改善してくるんです。