妻です。
砂糖なし育児イラスト絵本第2弾です。
「あまいおばけ」という言葉から連想ゲームのように出来上がったお話。
もわもわっと、もやもやっと、
なんだかよくわからないお話になってしまいました。
まあ、こんなのもありかしら?ってことで。
では、はじまりはじまり~。

僕はちいさい頃から身体が弱くてあまりお友達がいません。けれど全然淋しくないんだ。
どうしてって?
だって僕には生まれたころからずっとそばに、あまいおばけのさとうさんが居るからさ。
さとうさんはいつでもどこでも僕と一緒。
さとうさんが居れば、僕はちっとも淋しくないよ。
虫歯がいっぱい出来ちゃう僕は、毎週毎週怖ーい歯医者さんへ行かないといけないけれど、
僕はちっとも怖くなんかないのさ。
だって終わったら必ずさとうさんが来て、とびきり甘いお菓子をくれるから。
身体のとっても弱い僕は朝起きるのがとっても苦手。
起きよう起きようと思っても、身体が重くて起き上がれない。
だから学校も休みがち。けれどもちっとも淋しくないよ。
だって学校にはお友達はいないし、僕にはさとうさんが一緒にいてくれるんだもの。
そんな僕もたまには学校に行くんだ。でも学校はつまらない。
勉強は頭に入らないし、イスにずっと座っているのも苦手。
男の子たちは“ガリガリ!!”ってからかってくるし、
女の子たちは“暗くて怖い”ってかくれて僕のこと噂してる。
僕は学校なんて嫌いだ。友達なんていらない。
お母さんはよく、僕をココロのお医者さんに連れて行く。
僕はどうやら身体だけじゃなくてココロもおかしいらしい。
いつも行くたびにいろいろ聞かれて、沢山の薬をもらうんだ。
けれど僕はへいっちゃら。
だって月に一度のこの日は特別、さとうさんは大きな大きなまあるいケーキをくれるんだ。
いつからだろう?僕のお母さんのごはんはちっとも美味しくない。
なんていうか、味が薄いんだ。
僕はもっと、甘くて、濃くて、そーいったのが好きなのに。
けれどお母さんはいつも、ごはんを残すととっても怖い。
そんな時もさとうさんは僕を助けてくれるんだ。
僕の夜はとっても長い。
いつもいつも、お母さんに寝なさいって言われて布団に入ってからようやく眠れるまで、
何時間も何時間もかかるんだ。
けれど僕は辛くない。
さとうさんがいつだって、話し相手になってくれるから。
だから僕はとっても幸せ。
身体が弱くたって、お友達がいなくたって、学校にいけなくたって、
歯医者さんが怖くたって、薬をたくさん飲まなきゃいけなくたって。
さとうさんさえいれば幸せ。
ちなみに、さとうさんのことはお母さんも、病院の先生も、
学校のクラスメイトもみーんな見えないらしい。なんでかな。
ところがある日、町で知らないおじさんに会って突然こう言われたんだ。
「あまいおばけを連れてるね?」って。
僕はとってもびっくりした。
なぜって、さとうさんのことが見えたのは僕以外ではじめてだったんだもの!
おじさんは言うんだ。あまいお化けを連れている子は、
みーんな同じような顔をしてるんだって。うまく言えないけどね、って。
実は、君と同じようにあまいおばけを連れている子を、僕は他にも知っているんだよ、って。
なんと!!さとうさんは他にもいるのか!!
おじさんは言う。
僕の身体が弱いのは、いっつもさとうさんがくれるあまーいお菓子をたくさん食べてるせいだって。
虫歯がたくさんあるのも、身体がしんどいのも、友達をうまくつくれないのも、
ぜーんぶそのお菓子のせいだって。
あまいおばけとさよならすれば、君はもっと元気になれて、
そうしてすぐに学校へも通えるようになるよ。っておじさんは言う。
お友達と一緒に遊びたくはないかい?
歯医者さんに行くのはもう、終わりにしたくないかい?
その日の夜。
翌朝起きると、いつのまにかさとうさんはいなくなっていました。
どこにいったのだろう。どこにいったのだろう。
さとうさんどこ?さとうさんどこ?
淋しいよ、僕淋しいよ。ひとりは怖いよ、さとうさーん…。

そのころのさとうさんはというと…。

おしまい。