砂糖の依存性 ~身体依存と精神依存~

satouizonn

砂糖は麻薬

砂糖は麻薬。

この表現は比喩ではなく、

麻薬と同じような仕組みで依存状態になって、

心身を蝕むということ。

何を大げさな!と思う方もいると思いますが、

重度の依存状態から抜け出せない人の多さを考えると、

ごく適切な表現だと思います。

もちろん、覚せい剤や法律で規制されている麻薬類と比べると、

作用は穏やかで、その害はゆっくりと進行するようです。

ですから、砂糖はソフトドラッグの類でしょうね。

ほどほどがいい?

砂糖なし育児について書いていると、

ほどほどにしたほうがいい、というアドバイスをしてくる人がいます。

あまり神経質にならず、ほどほどに食べさせても害はないだろう、

むしろそのほうが人づきあいがスムーズだし、

おおらかな人間に育つという考えです。

昨日妻が書いた助産師さんも、きっとそんな考えなのでしょう。

砂糖なし育児でギスギスした子供になる?

多分、虫歯になるしあまり体に良くない、、という程度の認識だと思います。

一方で「幸せになる」から、、精神的なメリットが大きいと思うのでしょう。

本当はその「幸せ感」が、厄介なんですけどね。

ほどほどなら大丈夫、

摂りすぎなければ大丈夫、

ちょっとだけなら、、、大丈夫ですかね?

僕は、ほどほどじゃ済まなくなっている人をたくさん見ています。

自分自身の体験として、あるいは身の回りに、

とめどなく甘いものを欲しがる人、いませんか?

その人たちは、特別に意思の弱いダメ人間なのでしょうか?

薬物をほどほどに与えるの?

もし、どうせ大人になったら飲むんだからと、

幼児にほどほどにアルコールを飲ませるか、

ほどほどにタバコを吸わせるか、

ほどほどにコカインを与えるか、

ほどほどに、覚せい剤やLSDを与えるのか、、

そして、ほどほどになら、砂糖を与えても大丈夫でしょうか?

これって、極端なたとえですか?

前置きが長くなりましたが、今日は砂糖の麻薬的な依存性についてです。

砂糖の依存性

法的には麻薬指定されていませんが、

砂糖の作用は、コカインや覚せい剤などの麻薬と似ています。

麻薬と同じような作用機序で脳が快楽を感じ、

やがてより強い刺激を求めるようになり、

やがて重度の依存状態に陥ってしまう。

もちろん、そこから抜け出そうとすれば苦しい「離断症状」が出ます。

実際に、砂糖に依存性があることは多くの方が体験しているはず。

やめようとしてもやめられない

我慢しても、またどうしても欲しくなる

これは、よく聞く話です。

一度砂糖の味を覚えてしまった子供から砂糖を取り上げることは大変ですが、

これは単に「子供は甘みを好むから」でしょうか?

もしかすると、すでに依存状態かもしれません。

身体的依存と精神的依存

砂糖の依存性には、大きく分けて2種類あります。

一つは、身体的依存。

これには血糖調節や摂食中枢が関わっています。

もう一つは、精神的依存。

精神的依存には、脳の報酬回路が関わっています。

砂糖が脳に作用する麻薬だといわれる理由は、この精神的依存が関与しています。

砂糖中毒では、身体的依存と精神的依存が相互に関連して強い依存状態を作り、

心身をゆっくりと蝕んでいく。

砂糖なし育児は、これを避けるためのコンセプトです。

では、順を追って説明していきましょう。

砂糖の身体的依存

お腹がいっぱいなのに、甘いものが欲しくなる

食後しばらくすると、またすぐに小腹が空く

すぐに疲れてしまうが、甘いものを食べると回復する

このような状態は、身体的依存の状態です。

身体的依存は主に、血糖調整や摂食中枢と関連しています。

満腹中枢と摂食中枢

人が満腹感や空腹感を感じるのは、脳の「視床下部」と呼ばれるところ。

視床下部には、摂食行動をつかさどる部分があります。

その部分は、摂食中枢・満腹中枢と呼ばれています。

摂食中枢が刺激されると空腹を感じ、

摂食行動を促進します。つまり、、お腹が空いて何か食べたくなります。

満腹中枢が刺激されると、満腹感を感じます。

その結果、摂食行動が抑制されて、それ以上食べたいと思わなくなる。

もうお腹いっぱいです、充分です、満足です、という状態になります。

この視床下部に刺激を与えるのは、主に胃壁の伸び縮みと血糖値です。

視床下部を刺激するもの

胃壁の伸張

視床下部を刺激するのは、胃壁の伸張と血糖値です。

胃袋が食べ物で満たされると副交感神経が刺激され、

副交感神経の刺激は視床下部に伝わり、満腹感を感じます。

逆に、食べ物が消化されて小腸に送られ、

胃が収縮すると交感神経が刺激されます。

交感神経は視床下部の摂食中枢を刺激し、空腹感を感じます。

血糖値

血糖値は通常一定の範囲に保たれていますが、

血糖値が下がってくると、摂食中枢が刺激されて空腹を感じます。

血糖値が上がってくると、満腹中枢が刺激されて満腹を感じます。

このように血糖値の状態は、摂食行動を促したり抑制したりします。

低血糖症と過食

糖質を大量に食べると、食後血糖値が急上昇します。

すると、血糖値を下げるホルモンであるインシュリンが大量に分泌される。

インシュリンには強力に血糖値を下げる働きがあるため、

大量に分泌されれば血糖値は逆に下がりすぎてしまいます。

すると、、摂食中枢が刺激されて、また空腹を感じる。

このような、お腹いっぱいなのに何か食べたい!!というとき、

何か甘いものを食べたい!!と思うことが多いようですが、

これは栄養素が足りないからではなく、下がりすぎた血糖値を上げたいから。

このような食生活を続けていると「低血糖症」になってしまいます。

低血糖症とは血糖調節機能が疲弊している状態です。

低血糖症になると糖質に過剰に反応して、

インスリンの過剰分泌が起こりやすくなります。

また、下がりすぎた血糖値を上げるために各種ホルモンが分泌されます。

血糖上昇作用のある、アドレナリン、コルチゾール、成長ホルモンなどです。

例えば、アドレナリンには交感神経を興奮させる作用があり、

それが摂食中枢を刺激して、さらに空腹感が増してしまう。

お菓子を食べないとイライラしてしまう人は、このような状態かもしれません。

血糖値の乱高下から低血糖状態になり、空腹でもないのに食べ物を詰め込む。

それがさらに血糖値の乱高下を招く、、このような悪循環が断ち切れない。

これが、砂糖の身体的依存のメカニズムです。

砂糖の精神的依存

次に、砂糖がもたらす精神的依存を見ていきます。

砂糖を食べると、快楽を感じますね。

甘いのを食べると幸せになる、、多くの方が感じていることです。

この幸福感、、実はドラッグを摂ったときに感じる幸福感と同じようなもの。

甘いものを食べると、大脳辺縁系の側坐核と呼ばれる場所でドーパミンが分泌されます。

ドーパミンは、快楽を生む神経伝達物質です。

ドーパミンが分泌されると人は快感を感じますが、

この快感をつかさどっている脳の部分を報酬系と呼んでいます。

砂糖が脳の報酬系を壊す

好きなことをしたり、褒められたりして良い気分になっているとき、

脳の報酬系ではドーパミンが分泌されています。

ドーパミンが分泌されると、人は快感を感じるので、

意欲や集中力を高めて、積極的に活動できるようになります。

しかしドーパミンの分泌量が多すぎると、依存症になってしまうんです。

覚せい剤などはドーパミンの分泌を強烈に促します。

強烈な快感が得られるため、依存症になりやすい物質です。

そして、ドーパミンの過剰分泌は砂糖によっても起こります。

甘いものを食べたときの幸せ感は、、これなんですね。

繰り返していると、脳の報酬回路はだんだん麻痺してくるようです。

すると、今までと同じような快感が得られなってきます。

日常的に甘いものを摂り続けていると脳の報酬回路が麻痺してきて、

もっと強い刺激を求めるようになります。

そして、もっと多くの砂糖や甘いものを求めるようになる。

これは麻薬中毒と同じ状態であり、砂糖中毒と言えます。

砂糖の精神的依存とは、このようなものです。

それで、砂糖は麻薬だといわれるんですね。

このような精神的依存の仕組みを考えると、

血糖値を上げない代替甘味料も使うべきではないことが分かります。

なぜなら強い甘味が脳を刺激し、依存状態にさせているからです。

まずは 身体的依存から抜け出す

比較的短期間で抜け出すことができるのは、身体的依存だと思います。

多くの場合、きっちりした砂糖断ちを2~3週間行うことで抜け出すことができます。

この間は、砂糖を一切摂らないようにします。

血糖値の乱高下が関わっているので、甘酒もやめたほうがいいでしょう。

甘酒は果糖が含まれないのがメリットですが、血糖値は結構上がります。

甘酒は飲む点滴か?~砂糖の代わりに甘酒を使うことについて~

いったん依存状態から抜けたら、甘いもの欲求は激減するはず。

しかし、脳が覚えてしまった「快楽」を忘れるためには、

人によってはもっと長い時間がかかるかもしれません。

このように、砂糖が麻薬であり依存状態になりやすい物質であること、

その背景にある仕組みを説明してみました。

それでもまだ、ほどほどがいいと思いますか??

まぁ、、それは自分で決めればいいことですね。

この記事は、以前妻のブログに書いた、

「砂糖を使わない9つの理由~我が家の砂糖なし育児~」

ここに挙げた9つの理由の1番目にあたります。

今後、残りの8つについても詳しく書いていこうと思います。

参考文献

「歯医者が虫歯を作っている」長尾  周格 著 (三五館)