砂糖断ち
ぼくが砂糖をやめたときの体験を書きます。
今でこそ『断糖肉食』なんて言葉を使っていますが、砂糖をやめようと悪戦苦闘してた頃は、玄米菜食してました。
その当時、断糖肉食もMEC食も糖質制限も知りませんでした。
漠然と、粗食、菜食、和食がヘルシーなんじゃないかと思ってたんです。
でも、マクロビを指導してる若杉ばあちゃんとか、玄米菜食系の食養生でも『砂糖はやめろ』って言います。
白砂糖はダメで黒砂糖は良いとか、甜菜糖がいいとか、はちみつがいいとか、、そういう微妙なことも言われてますけどね。
僕はその頃、鍼灸院を開業したばかりで、まずは自分がちゃんとしなきゃと思って『砂糖断ち』にチャレンジしたんです。
今から3年くらい前の話です。
砂糖中毒者
自慢じゃありませんが、僕はもともと重度の砂糖中毒者で、板チョコ一枚くらいはぺろりと食べてました。
毎日、甘いコーヒーやアイスクリーム、プリンとかグミとか、、日常的に、好きなだけ食べていました。
そして、しばらく食べないと無性に欲しくなる、、明らかに中毒状態でした。
だから砂糖断ちを始めた当初は、かなり我慢した記憶があります。
僕は砂糖断ちをするにあたって、ラカントとかアスパルテームとかの『代替甘味料』は使いませんでした。
実は、存在を知らなかったんです。
でも、砂糖の代わりに大量の炭水化物や果物を食べていました。
具体的に言うと、玄米ご飯を1日で3~4合くらい、、かなりの量です。
毎朝、おにぎり5個持って仕事に行きました。
甘いものが欲しくなると甘酒飲んだりしていました。
甘酒って砂糖なしのものでも結構甘いんですよね。
あと、バナナ。

バナナたくさん食べました。
仕事場近くのスーパーで買ってきて、1房くらい一度に食べていたと思います。
今にして思えば『糖質食い過ぎだろ!』と突っ込みたくなります(笑)
でも、あの当時の糖質過食は、砂糖をやめるのに役立ちました。
結果的に甘いもの要らない人になりましたし。
プロセスとしては、まあ良かったんじゃないかと。
この状態をだいたい1年くらい続けたと思います。
そのあとで徐々に炭水化物を減らし、同時にお肉などをしっかり食べるようにしていきました。
ちょうどこのころ『食生活と身体の退化』を読んで断糖肉食系の情報に出会ったからです。
砂糖は甘くない
意志の強い人や、元々甘いものが好きじゃない人には関係のない話しですが、重度の糖質依存者にとって砂糖を断つのはとても大変なことです。
一般的には『一気にやめてしまう』ことが勧められています。
短期間に依存を断ち切った方が、だらだらを制限をかけるより成功率が高いからです。
僕も、これには異存ありません。
でも、、できない人いますよね。
僕は基本的に、心身共に弱めの人間です。
我慢とか、継続とか、意志の力だけではなかなかできない。

これを読んでいる人の中にも、同じような人がいるかもしれません。
でも、それでも、砂糖はなんとかしてやめた方がいいと思う。
短期間に、ビシッと砂糖断ちできない人でも、騙しだましやめる事ならできるはず。
僕の患者さんには、白砂糖を黒砂糖に変えてしばらくしたら、だんだん黒砂糖も減ってきたという人がいました。
実は、黒でも白でも砂糖には変わりないのですが、やっぱり未精白の方が依存性は低いようです。
僕は黒砂糖は使いませんでしたが、大量に糖質を摂りながらやめました。
糖質とは
現代人に多い食生活上の問題点として糖質の過剰摂取があることを度々書いてきました。
糖質って、、なんでしたっけ?
具体的には、砂糖、ごはん、パン、麺類やイモなどの炭水化物、あとは果物なんかに多く含まれています。
これは摂りすぎると身体に悪いです。
糖質は、砂糖だろうと玄米だろうと食べ過ぎないほうがいい。
でも、砂糖と玄米はやっぱり違います。
何が違うかというと、消化吸収のプロセスが違う。

直接糖と間接糖
糖質には、直接糖と間接糖という分け方があります。
直接糖は、精製された糖のこと。
ブドウ糖や果糖などに代表される、身体に直接的に『糖』として働き、ただちに吸収される糖です。
間接糖は、身体の中で何度も分解を繰り返して、ゆっくりと吸収されていくものです。
穀物やイモ類のでんぷんがこれに当たります。
また、穀物の中でも白米のように精白されたものは、玄米のように未精白のものよりも急速に消化吸収されるため、
直接糖に近いと言えます。
直接糖は血糖の急上昇をもたらすことをはじめとして、さまざまな問題を引き起こします。
同じ量の糖質を摂っても、血糖上昇が緩やかな方が身体への負担が少ないんですね。
ジョン・ユドキンの研究
今では砂糖の害を訴える医師や専門家が少なからずいますが、以前はそうではありませんでした。
砂糖の消費量は1900年代にヨーロッパやアメリカが経済的に発展する中でどんどん増えて生きましたが、そんな中、早い段階で砂糖の害を訴えていた研究者がいました。
その研究者とは、ジョン・ユドキン博士です。
ジョン・ユドキン博士は、クイーン・エリザベス大学の栄養学教授でしたが、砂糖や糖質の摂取が肥満や心疾患を始め、非常に多くの病気や問題をもたらすということを科学的に研究し、その成果を一般向けの本にまとめています。
その本『PURE WHITE AND DEADLY』には、砂糖はデンプンや果物とは全く違うものであり、健康上の害が大きく、麻薬と同じように禁止するべきだと書かれています。
これは『純白、この恐ろしきもの』という邦題での訳本も出版されましたが、今は絶版となっているようです。
ユドキン博士の研究から砂糖は単に糖質の過剰をもたらすだけでなく、特殊な物質として身体を障害することがわかります。
以下に一部を引用します。
砂糖を避ければ太ったり、栄養失調に陥ったり、心臓発作が起こったり、糖尿病や、虫歯や、十二指腸潰瘍になったりすることが少なくなりますし、関節炎や脂漏性皮膚炎やある種のガンになる可能性が減りますし、だいたいにおいて寿命が延びるでしょう。
砂糖が非常にたくさんの病気や異常を引き起こすことと、どのように関連しているかを理解しようとすると、私たちの実験で得られた二つの結果が特に印象に残ります。その一つは、砂糖は私たちの実験動物の肝臓と腎臓を肥大させますが、それはすべての細胞を少々膨張させるだけでなく、実際はこれらの臓器の細胞の数を著しく増加させて起こっているということです。専門的に言えば、砂糖は肥大だけでなく増生も行うのです。
重要と思われる第二の働きは、砂糖は少なくともある人々に対してインシュリンを増加させ、また副腎皮質ホルモンについてはこれを著しく増加させるということです。砂糖はまた、ネズミでは副腎の肥大もさせます。これらの影響はショ糖(砂糖)が消化されてブドウ糖と果糖が大量に作られ、血液が繰り返しこれらの糖で一杯になるときに、ずっと起こりやすくなるということを忘れてはいけません。
道理をわきまえた人なら皆、ホルモンや肝臓や腎臓に及ぼす影響を見れば、砂糖が普通の食べ物では全くないということを納得されるはずです。※1
『純白、この恐ろしきもの』に書かれている砂糖によって生じる病変は次のようなものです。
冠状動脈血栓症(心臓疾患)
動脈硬化
肥満
脂肪肝
インスリン過剰分泌(インスリン抵抗性の増大)
低血糖症
視力減退や眼の疾患
虫歯と歯周病
胃腸障害(胃潰瘍、十二指腸潰瘍、慢性の大腸炎など)
肝臓、腎臓、副腎の肥大
寿命の短縮
皮膚炎
関節炎
成長や性成熟を早める
、、などなど。たくさんありますね。
砂糖は血糖調節を乱して肥満の原因になり、動脈硬化や血管障害を引き起こすことはよく知られていますが、ホルモンの分泌に影響することも大きな問題だと思えます。
インシュリン(膵臓が分泌するホルモン)やコルチゾール(副腎が分泌するホルモン)については、
砂糖分の多い食事を摂りはじめて2週間すると、空腹時の血液中のインシュリン量に約40%の上昇が見られましたが、コルチゾールの量には300~400%と大幅な上昇が見られました。この観察結果は、砂糖がネズミの副腎を肥大させたという実験結果を思い出させてくれるものです。※2
このことは最近日本でも問題視されているインシュリンの害、インスリン抵抗性、副腎疲労などが砂糖によって引き起こされるということを示しています。
副腎の肥大や寿命の短縮など研究によって判明した病変の多くは、同じ糖質量でも小麦等のデンプン質では起こらなかったそうです。
よく、糖質量をわかりやすく示すために角砂糖何個分!という写真がありますが、基本的に砂糖とデンプンは別物だと思っておいた方が良いでしょう。
※1、※2、『純白、この恐ろしきもの』より引用
まずは砂糖をやめる
砂糖は、純粋な糖のかたまりです。
短時間で吸収されて血糖値が急上昇するだけでなく、細胞の「糖化現象」を引き起こす果糖が沢山含まれています。
糖化現象は、細胞の老化に繋がってきます。
砂糖の摂取によって血管を傷つけたり、血糖調整ホルモンを浪費したり、肥満になったりします。
玄米やイモなどの間接糖でもこれは起こりますが、砂糖ほど急激かつ強力ではありません。
だから糖質の摂り過ぎをやめようとする時、まずは砂糖をやめる。
糖質を減らしていく順番としては、これが基本です。
砂糖を食べながら炭水化物を少なくしても効果は薄いと思います。
3週間がヤマ
砂糖断ちは、はじめの3週間が山だと言われています。
3週間くらいきっちり砂糖をやめると、身体的な依存が抜けてくるからです。
身体的な依存から抜けると『どうしても欲しい!!』という強い欲求が無くなってくる。
欲求さえ無くなれば、食べないでいられますよね。
まずは、この状態を作ることが大切です。
糖質全般を控えようと思うなら、砂糖をやめてから炭水化物を減らしていくといい。
それも一気にやめるようなことはせず、はじめは夜だけ炭水化物抜き。
甘いものはもう欲しくありませんので、わりと楽にコントロールできます。
僕はここまでに約1年間かけました。
このやり方時間はかかりますが、無難です。
繊細な人や、弱い人向けの方法だと思います。
あるいは、健康にはなりたいけど頑張りたくない、、という人にもお勧めできるかもしれません(笑)
砂糖断ちに成功するコツ
砂糖断ちの成功にはコツがあります。
それは、動物性の食品をしっかり摂ること。
具体的には、肉、魚、卵、チーズなどをたっぷり食べながら行います。
これ重要なんですよ。
何故かと言うと糖質を減らして脂質たんぱく質も摂らなかったら、ただの栄養失調、エネルギー不足になってしまうから。
それだと結局、リバウンドしてしまうことが多いんです。
欠乏感から過食に走ったり、やつれて元気なくなったりしてしまいます。

そもそも過剰に糖質を欲する背景には、栄養不足があります。
栄養不足があると『欠乏感』を感じますが、これは正常なこと。本能です。
問題は『欠乏感』を甘いものや炭水化物で埋めようとすることです。
それではいつまでも栄養不足が解消されないので、欠乏感も解消しません。
もっと欲しくなり、糖質の過剰摂取がエスカレートしてしまう。
『糖質の過剰摂取と栄養欠乏』がしばしばセットで言われるのは、そのためなんです。
だから砂糖断ちにチャレンジするときは、お肉などの栄養ある食品をたっぷり食べながらやる方が上手く行きます。
僕はこれをせずに砂糖断ちしたから、大量の炭水化物を必要としたのでしょうね。
(※追記、栄養の中でもタンパク質や鉄が不足していると、脂質をエネルギー化する能力が低くなります。細身で貧血傾向の女性が甘いものを好むのはそのためで、脂質を燃やせないのでエネルギー源としての糖、速やかな血糖上昇を欲してしまうのです。隠れ貧血も含めて鉄不足傾向のある女性は、まずそれを治したほうがあとあと上手く行きます。)
依存性が高く健康を害する砂糖や異性化糖などの甘味料、、
特に子供には「はじめから与えないこと」が大切だと思います。
でも、実際に『砂糖なし』で育児をしようとすればいろいろな問題に直面するようです。
大切だけどなかなか難しい『砂糖なし育児』をサポートする目的で絵本を作りました。
絵本の内容はリンク先 ↑ の記事で公開していますのでぜひご覧ください。