粗食や菜食のメリットと注意点

sosyoku

菜食の感触

去年の8月にブログを始めたころは、菜食を否定したい気持ちがありました。

正直、菜食で健康を維持している人に会ったことがありませんし、

本人は元気なつもりでも、いろいろな「栄養欠乏の兆候」が見えてしまうから。

僕自身、菜食の思想に「騙された」感を持っていました。

でも今は、特に否定も肯定もしないというか、、フラットな気持ち。

本人が決めることだと思っています。

実は、菜食を始めた当初、体感は悪くありませんでした。

身体が軽く感じましたし、なんとなく調子が良かった。

アーユルベーダや玄米菜食の思想に影響されてはいましたが、

僕もただやみくもに信じて菜食を実践していたわけではなく、

体感として「いい感じ」があったから続けていました。

玄米を食べていると便通が良くて、毎日快便。

気のせいか心身が「ピュア」になったと感じていました。

今から思うと怪しいですが、精神的にも穏やかになると感じていたんです。

菜食で体調が良くなる

玄米菜食などを実践すると、

実際に体調がよくなることは少なくないようです。

一般的に、食糧問題や環境問題以外では、

菜食は、健康に良い食事として薦められています。

多くの実践者がいて、良い体感を感じている人も少なくないと思う。

それまでの食生活や体質にもよりますが、

少なくとも短期的には、体調が改善する人がいることは事実です。

先日もある菜食者の会合で、

「自然栽培の玄米食べるようなってから体調がいいです!!」

と大きな声で報告している人がいました。

また、がんを治すために厳密な玄米菜食を指導している医師もいますが、

効果が出ているという話は、あながち嘘ではないかも知れません。

どこまで事実かわかりませんが、

「玄米菜食で癌が消えた!!」という話はよく聞きます。

(逆に、死期を早めているケースもあると思います)

アトピーの改善例なら、体験談として複数確認しています。

僕のところに来院した、玄米菜食を続けている患者さんの多くは、

「アトピーの症状が良くなったから続けている」という人達でした。

良くなったと言っても完治していませんでしたが、

それでも重症が軽症になれば、本人にとって大きなことです。

栄養を抜く

菜食は、良くも悪くも身体から栄養を抜いていきます。

身体の主な材料である脂質やタンパク質が少ないことに加えて、

食物繊維の吸着作用でミネラルや脂溶性物質を体外に排出します。

それはデトックスにもなりますが、

「勢いのある病」の症状を弱めることにもつながります。

勢いのある病とは、東洋医学でいうと「実」の病です。

邪実とも呼ばれる実の病は、激しい炎症や痛みを伴うことが多い。

このような症状の一部は「栄養を減らしていく」ことで抑えることができます。

なぜなら炎症や痛みは、自己免疫力による治癒反応の一部だから。

自分の体力を弱くしていけば、治癒反応(=症状)は弱くなります。

一説に、アトピーや湿疹などの皮膚炎は、

体内に溜まった毒の「皮膚からの排泄」だと言われています。

もし、不要な物質を排泄するためにアトピーなどの皮膚炎が起きているとするなら、

それを行っている体力を「削いで」やれば、症状は一時的に改善するでしょう。

精製糖質過剰を防ぐ

玄米菜食など粗食系食事法の利点は、

精製糖質の摂取を減らせることにもあります。

中には砂糖OKという微妙な流派もありますが、

基本的に砂糖や精製糖質を避け、未精白の穀物を推奨している。

そして腹7分目、8分目と、少食をすすめているところが多いです。

断食や半断食など、一定期間食事を抜くことを推奨しているグループもあります。

これは結果的に糖質の過剰摂取を防いでくれるでしょう。

同時に、添加物や市販の加工食品をやめることが勧められます。

ほんものの調味料を使い、旬の素材を使って料理する。

一般的な精製糖質中心食、砂糖まみれの食生活を続けてきた人が、

このように食事を変えれば当然体調がよくなります。

これは、とても大切なことです。

腸内細菌が乱れて、腸カンジダ症や、

リーキーガットなどになっていた人でも、そこから回復する可能性がある。

腸の状態が回復すれば、アレルギーなどが改善する可能性もあります。

おそらく、粗食や菜食で「少食」が推奨されている背景には、

糖質中心の食事にありがちな「過食」を戒めるためだと思います。

定期的な断食も、腸粘膜を回復させたり、脂質代謝を活性化させる効果があるはず。

(断食中は糖も入ってこないので、必然的に脂質代謝が活性化する)

脂質代謝が活発になるほど生理状態が安定し、治癒力が高まるようです。

糖質制限では糖質を控えることで脂質代謝を活性化させますが、

断食や少食などの方法でも、脂質代謝を活性化出来るのだと思います。

胃腸が弱いと菜食を楽に感じる

菜食で体調が良くなる理由は、他にもあります。

菜食で体調がよくなると感じる人は、胃腸が弱い人が多い。

肉などの動物性食品は、胃が弱いとうまく消化吸収できません。

だから胃が弱い人は肉を食べると重たく感じますし、

たくさん食べることができません。

小腸での消化液が充分い出ない人や、腸に炎症がある人も同様。

タンパク質や脂質の消化吸収がうまくいかないので、

肉を食べると体を重く感じたり、ガスが溜まったり、下痢をしたりします。

このような胃腸虚弱者が菜食をすると、一時とても楽になる。

うまく消化できない動物性食品が入ってこないからです。

これは、場合によっては「治療食」として使えます。

断食の効果の一つは、疲れた胃腸を休めることにあるでしょう。

また、エサがなくなるので、

腸カンジダなどの腸内細菌の異常繁殖が抑制されたり、

傷ついた腸粘膜が修復される余裕を与えることにもなります。

自力で消化できない食べ物や炎症を促進させるような食べ物、

精製糖質や質の悪い油などを徹底的に排除すると、

ダメージを受けていた胃腸機能が回復してくる。

粗食や断食で調子が良くなる理由背景には、このようなことがあります。

しかし、これには注意が必要です。

長期的に粗食を続けたり、断食を繰り返せば、

栄養欠乏から胃腸機能はさらに低下してしまうでしょう。

一度低下した胃腸機能を回復するのは大変なことです。

そもそも食べられなくなってしまうし、

栄養あるものを食べても、消化吸収できなくなってしまうから。

実は、そのようなケースは結構多いんです。

長期的に菜食を行うリスク

粗食や菜食にはこのよう、メリットがあります。

しかし、長期的に健康を維持することは難易度が高く、

日本人の一般的な生活の中では、栄養不足から来るトラブルを招きやすい。

実際に、トラブルの実例を少なからず見ています。

本人に自覚がなくても、顔色や言動を見ているとすぐにわかる。

詳しくは書けませんが、ひどい状態になっている例をいくつも見てきました。

そういう方も少しづつ栄養を摂ることで改善していますが、

回復にはかなりの時間がかかっています。

長期的な菜食で重度の栄養不足に陥る「リスク」が大きいことは、

間違いないでしょう。

粗食や菜食を長期的に行うなら

もし粗食や菜食を長期的に行うなら、

鉄、タンパク、脂質などの基礎的な栄養素の欠乏をいかに防ぐか、

詳しくなって、真剣に対策を考えたほうがいいと思います。

特に若い世代、子どもがいる世代では非常に重要です。

心身の発達や、一生の健康レベルに影響してしまうから。

現実的には、サプリメントやプロテイン、

ビール酵母などの発酵系栄養補助食品などが使えると思います。

「自然派」の人はそういうの嫌いますが、菜食ってそもそも自然じゃないから。

そのくらいの工夫はした方がいいでしょう。

粗食や菜食の思想には、

人体を「魔法の箱」のようにとらえている部分があると思う。

栄養を摂らなくても神秘的な仕組みによって補われる、、というような。

確かに、ほとんど食べない人が生きている例を考えると、そういう要素があるかもしれません。

でも、一般化は危険だと感じています。

ちなみに、食物繊維は腸内細菌を増やして、

そこから脂肪酸などの栄養を作り出すともいわれていますが、

実際の菜食者の様子を見ていると、十分な栄養を賄えるとは思えません。

あるとしても、補助的な働きではないかと思います。

あるいは生活環境によって得られる腸内細菌叢の豊かさが足りないのかもしれませんが、

現実問題として、そこに頼りきることには無理があると感じています。