糖質のリスクと糖質制限食

nikuryouri

糖質過剰のリスク

糖質の過剰摂取とそれに伴う栄養不足。

この2つは、現代人の多くに見られる食生活上の問題点です。

では、そもそも糖質の過剰摂取がなぜ問題なのか、、

基本的なところを確認してみます。

一般に、糖質を摂りすぎると次のようなリスクがあると言われています。

● 血管の損傷(=動脈硬化・血栓・血流障害)

● 細胞の糖化(=組織の老化・変性・機能低下)

食後に血糖値が急上昇すると血管が傷つき、

さらに糖化と呼ばれる現象によって全身の細胞がダメージを受けます。

糖化とは、身体を構成するタンパク質が糖とくっついて変質してしまうこと。

結果として、全身的な機能低下=老化を促してしまうのです。

そして糖質摂取によって起こるこれらの現象が、

様々な慢性病や、体調不良の原因になると言われています。

糖質制限食

糖質制限食は、これらの問題を回避するために有効な食事法だといえます。

なぜなら、糖質を控えることで確実に高血糖を防ぐことができ、

高血糖が原因で起こる血管の損傷や糖化現象を防ぐことができるからです。

糖質制限食は、

主食や甘いものを控え、

動物性食品をシッカリ食べる食事法です。

ここで言う主食は、ごはん・パン・麺類・芋類などのこと。

甘いものは砂糖をはじめとした甘味料のことで、黒砂糖やてんさい糖、蜂蜜なども含まれます。

これらの食品は体内でブドウ糖や果糖に変わり、高血糖や糖化現象を引き起こす原因になります。

一方、積極的に摂るべき動物性食品とは、肉・魚貝類・卵・チーズなど。

野菜や豆類、ナッツなどは適量を摂ります。

これらの食品は栄養豊富ですが、比較的糖質の量が少ないものです。

また、糖質を控えた分バターなどの脂質を十分に摂ることもポイント。

このような糖質制限食の提唱者として、医師の江部康二氏や夏井睦氏が有名ですが、

現在では多くの医師が臨床に取り入れ、書籍やネット上で推奨している食事法です。

食後高血糖とインスリン

糖質制限食がすすめられる背景には、

糖質の過剰摂取が肥満や慢性病の原因になっている

という考え方があります。

では、なぜ糖質が肥満や慢性病の原因になるのでしょうか?

それには、まず、食後高血糖が関係します。

糖質を摂ると食後血糖値が急上昇します。

血糖値とは、血液中のブドウ糖濃度のこと。

身体の仕組みとして血糖値は常に一定の範囲に保たれるようになっています。

それは、だいたい80~110mg/dlの範囲です。

しかし、糖質を食べすぎると血糖値は急激に上昇します。

人によっては限度を超えて、危険なレベルまで上昇してしまうんです。

血糖値が急上昇することや高血糖の状態が続くことは、

身体にとって非常に危険なことです。

なぜかというと、それによって血管が傷ついてしまうから。

そのため身体はインスリンというホルモンを分泌して血糖値を下げ、

血管のダメージを防ごうとします。

インスリンとは膵臓から分泌される、血糖値を下げる働きのあるホルモンです。

食事から消化吸収されたブドウ糖は、

インスリンの作用によって肝臓、筋肉、脂肪細胞に取り込まれ、

グリコーゲンや中性脂肪の形で貯蔵されるようになっており、

その結果、血液中のブドウ糖濃度(血糖値)は適正値まで下がります。

糖質と肥満の関係

インスリンの作用で血糖値が下がるのは、

血液中のブドウ糖が肝臓、筋肉、脂肪細胞に取り込まれるから。

実は、インスリンは栄養素の蓄積を促すホルモンなんです。

過剰なブドウ糖は、まずは肝臓と筋肉に取り込まれ「グリコーゲン」として蓄えられます。

しかし、肝臓と筋肉に蓄えることができる量には限度があります。

具体的には、

肝臓に蓄積できるブドウ糖 60g程度

筋肉に蓄積できるブドウ糖 120~360g程度(※筋肉量による)

肝臓と筋肉に入りきらなかったブドウ糖は中性脂肪に変換され、脂肪細胞に蓄えられます。

脂肪細胞は比較的制限なくブドウ糖を中性脂肪に変換して蓄積できるようです。

この能力には個人差が大きいですが、

太りやすい人では余った血糖がどんどん脂肪に変換されてしまいます。

ある意味『糖を処理する能力』が高いということも出来ますね。

これが、糖質の摂りすぎで肥満になってしまう原因であり、仕組みです。

高血糖による血管の損傷

糖質の摂りすぎの弊害は、肥満だけではありません。

もっと怖いのは、血管を傷つけてしまうことでしょう。 

食後に血糖値が勢いよく上昇することを「グルコーススパイク」と呼びますが、

グルコーススパイクは血管の内皮細胞に炎症を起こすと考えられています。

血糖値は通常80~110mg/dlの範疇に保たれています’が、

140mg/dlを超えると血管内皮細胞を傷つけるリスクがあり、

180mg/dlを超えると、確実に血管を傷つけると言われています。

自分で血糖値を測ってみるとわかりますが、

糖質中心の食事を摂ればこのくらいの血糖上昇は普通に起こります。

また『高血糖の状態そのもの』も血管を傷つける要因になります。

ですから、日常的に糖質をたくさん食べていれば血管損傷のリスクは避けられないんです。

血管が損傷すれば、全身のあらゆる臓器の機能が低下してしまいます。

また、動脈硬化や心筋梗塞、脳梗塞のリスクも高まってくる。

そういうわけで糖質の過剰摂取が老化を促進し、慢性病の原因になると言われているんです。

糖化現象

更にもう一つ、重要な問題があります。

糖とタンパク質が結合する『糖化』と呼ばれる現象です。

血液中にブドウ糖がたくさんあると、糖とタンパク質が結合してしまいます。

これは『糖化』と呼ばれますが、糖化によってAGE(糖化終末産物)という物質ができます。

例えば皮膚のコラーゲンが糖化すると茶色いシミができ、柔軟性がなくなるのでシワが出来やすくなります。

血管や関節が糖化すれば柔軟性がなくなり、動脈硬化や関節の痛みを引き起こします。

これらの変化は一般に『老化現象』として知られていることですね。

また、腎臓の尿細管が糖化すれば、、腎機能が低下します。

糖尿病の人が腎臓を痛めて人工透析になるのは、尿細管が糖化してダメになってしまうからなんです。

この糖化現象、、糖とタンパク質を一緒に加熱すると起こると言われています。

実は、パンの焼き色やのプリンなどのカラメルの茶色は糖化したタンパク質の色。

体内でも糖とタンパク質が体温であたためられるとゆっくりと糖化し『焦げて』しまうんですね。

この糖化を防ぐには、みだりに血糖値を上げないことです。

基本的に、食事で糖質を摂らないようにすれば血糖値は上りません。

ですから、糖化現象は糖質制限食で防ぐことができると言えます。

果糖の糖化力

ちなみに、果糖は血糖上昇を起こしにくいですが、

糖化作用はブドウ糖よりもはるかに高い危険な糖です。

ブドウ糖と比べて、約60倍もの糖化作用があると言われています。

また、果糖が多い食品としては市販のドリンク類に含まれている異性化糖やガムシロップなどがあります。

果物やハチミツ、もちろん砂糖も果糖の多い食品です。

さらに最近の果物は改良され、糖度が上がっているので注意が必要ですね。

特にドライフルーツは水分が抜けて果糖が濃縮されているので、基本的には使わない方が良いと考えています。

 

日頃の食事で糖質を控えることを心がけると、これらの糖質の害を避けることが出来ます。

特に、すでに糖質過剰摂取による体調不良を生じている人は、

糖質制限を心がけることで蓄積したダメージからの回復を図る必要があるでしょう。

参考文献

「糖質制限食パーフェクトガイド」江部康二 著