糖質を食べた後はどうなるか~血糖調節の仕組み~

gohann

食べた糖質のゆくえ

血糖値とは血液中のブドウ糖濃度のこと。

これは基本的に一定の範囲内に保たれています。

しかし糖質をたくさん食べれば、

血糖値はその範囲を超えて上昇してしまう。

食後に血糖値が上昇すると、

余分なブドウ糖は肝臓、筋肉、脂肪細胞に取り込まれ、

その結果、血糖値は再び適正値まで下がります。

その後は、肝臓に蓄えた分を血中に放出したり、

肝臓で糖新生を行うことで一定に保たれる仕組みになっている。

(※糖新生とは、タンパク質などからブドウ糖を合成すること)

血糖調整にはインスリンを分泌する膵臓の働きが重要ですが、

肝臓もこのように、重要な働きをしています。

「糖質の過剰摂取やグルコーススパイクを避けるべき」

続けて、このようなことを書いてきました。

糖質のリスクと糖質制限

グルコーススパイク

なぜ避けるべきかというと、

高血糖の状態では全身の血管や細胞を傷めてしまうからです。

今回はそれとも関連している、血糖調節の仕組みを見ていきます。

血糖調節のしくみ

糖質摂取の許容量は個人差が大きいようです。

比較的たくさん食べても平気な人もいれば、

確実に悪影響が出てくる人もいる。

(悪影響に気づかない人も多いですが・・)

自分の場合はどうなのか、、気になるところですよね。

食べた糖質がどうなるか、血糖調節のしくみを理解していると、

自分にとっての適量を知るためにも役立つと思います。

肝臓 筋肉 脂肪細胞

食後に上昇した血糖値の調節には、肝臓、筋肉、脂肪細胞、

そしてインスリンが重要な働きをしています。

例えば、ごはん茶碗一杯分の糖質(約150g・糖質量55g)を食べたとします。

その後、血液中のブドウ糖はどうなるか。

ごはんのデンプンは小腸で消化されてブドウ糖に変わります。

(正確には、デンプン→麦芽糖→ブドウ糖のプロセスで分解される)

小腸粘膜から吸収されたブドウ糖は、まず肝臓に入ります。

肝臓に取り込まれる

小腸粘膜から吸収されて血液中に入ったブドウ糖は、

門脈を通って肝臓に入ります。

(門脈とは→ 門脈系~座薬が効く理由~

ブドウ糖は、肝臓で約50%が吸収され、

インスリンの作用でグリコーゲンに変換されて蓄えられます。

そして肝臓で吸収されなかった残りのブドウ糖は、

血流に乗って全身をめぐります。

筋肉に取り込まれる

血糖の約70%は、筋肉の細胞に取り込まれます。

筋肉に取り込まれたブドウ糖はエネルギー源として使われるほか、

余った分はグリコーゲンとして蓄えられます。

血糖を筋肉に取り込むためにもインスリンの作用が必要です。

インスリンは膵臓から分泌されて血液中のブドウ糖を肝臓や筋肉、

脂肪細胞に取り込ませる役割を持っているホルモンです。

ちなみに30分以上の有酸素運動をすれば、

筋肉はインスリンなしでブドウ糖を取り込めます。

このことから有酸素運動の習慣があれば耐糖能が高まると言えますね。

もちろん筋肉の量も多い方が処理能力は高いでしょう。

中性脂肪に変換される

肝臓にも筋肉にも取り込まれなかったブドウ糖は、

脂肪組織や肝臓で中性脂肪に変換されて蓄えられます。

そして、このプロセスにもインスリンが働いています。

インスリンの濃度が高いと、

血液中の中性脂肪はより多く脂肪細胞に取り込まれます。

それでインスリンは肥満ホルモンとも呼ばれているんですね。

インスリンはエネルギーを消費を抑え、蓄えさせるホルモンです。

これはとても重要な働きですが、分泌量が多すぎれば問題を引き起こします。

例えばメタボリックシンドローム(=代謝異常症候群)は、

インスリンの過剰分泌が関与している病気です。

肝臓と筋肉に入りきらなかったブドウ糖

このように、小腸から吸収されたブドウ糖は血液中に入り、

肝臓、筋肉、脂肪細胞に取り込まれます。

その結果として血糖値が下がる仕組みになっている。

ごはん茶碗1杯程度の糖質量では凡そこのような血糖調節がなされますが、

肝臓と筋肉のブドウ糖収容能力には限度があります。

食事の糖質量がもっと多ければ、

中性脂肪に変換される量が増える(=肥満)

長時間血液中にとどまり、全身を循環し続ける(=糖化の進行)

インスリンが過剰に分泌され、血糖値が下がりすぎてしまう(=低血糖)

このような事態になりかねません。

それを避けるため、高血糖状態ではブドウ糖を尿や汗からも排泄します。

「糖尿病」という病名の由来はそれですし、

砂糖を食べるとニキビや水虫、膣カンジダ症などになりやすいと言われるのも、

皮膚や粘膜からブドウ糖が排泄されて細菌の餌となるから。

これはもちろん、体臭の原因にもなります。

また、インスリン過剰分泌によって血糖値が下がりすぎると、

低血糖の状態になります。

血糖調節機能に異常をきたした状態を低血糖症といいますが、

血糖値の乱高下を繰り返していると血糖調整機能が疲弊して、

低血糖症になってしまいます。

血糖値が落ち着いたあとは?

食後に上昇した血糖値は通常約2時間で落ち着き、食事前の水準にまで低下します。

この頃になると肝臓がグリコーゲンを分解してブドウ糖を作り、

血液中に放出することで血糖値を一定に保ちます。

この肝臓のグリコーゲン分解は、2時間程度で減少してきます。

蓄えているグリコーゲンの量に限りがあるからです。

そして食後4~5時間が経過して空腹になるころには、

肝臓での「糖新生」が血糖確保の役目を担います。

これは前の食事から最低4~5時間経たないと、

肝臓のグリコーゲン収容力は期待できないと言うことでもありますね。

まとめ

まとめると、

●食後に上昇した血糖は、肝臓、筋肉、脂肪細胞に取り込まれる

●この働きにはインスリンの作用が必要

●肝臓と筋肉のブドウ糖収容量には限度がある

●余剰のブドウ糖は中性脂肪に変換されて蓄えられる

●余剰のブドウ糖は汗や尿からも排泄される

●糖質の過剰摂取はインスリンの過剰分泌をもたらす

●インスリンの過剰分泌は代謝異常や低血糖症をもたらす

●有酸素運動を行えば筋肉はインスリンなしで血糖を取り込める

●適正値まで下がったあとの血糖値は、

1、肝臓に蓄えたグリコーゲンを放出

2、肝臓で糖新生を行う、、ことで一定に保たれる

血糖調節の仕組みは、このようになっているんですね。

この仕組みをふまえた上で、自分の耐糖能は凡そどのくらいか、

自分にとっての適量はどのくらいかを考えるといいでしょう。

参考文献

「糖質制限食パーフェクトガイド」江部康二 著