糖質制限とステロイド
糖質制限で有名なある医師は、アトピー患者にステロイドを多用するそうです。
糖質制限で栄養充実していくとアトピーは自然治癒していくことが多いのですが、ステロイド多用ではかえって治りにくくなるのではないかと思い、その話を聞いて複雑な気持ちがしました。
僕は、医師が処方するステロイドの是非について明確な根拠を持って語ることはできません。
ただ、今まで鍼灸師として出会った アトピー患者のうち、子供の頃からのアトピーが慢性化して大人になっても治っていない人達は全員、まさに全員ステロイドを常用していました。
そんな経験から、ステロイドは一時的に症状を緩和するけれど、かえって慢性化・難治化させてしまう作用があるのだろうと考えています。
身体に残る影響とリバウンド
長期間ステロイドを使用していた人が薬をやめて何年経っても、特有の皮膚の薄さ、色、質感はなかなか改善せず、また共通する精神的傾向も感じます。
これらはおそらくステロイドの副作用でしょうし、ステロイドが体に残っている様にも見える。
本当に薬が残っているのかどうか、それは分かりませんが、影響は残っているのでしょう。
このような影響は腸や栄養状態を良好に保ち、年数を経過すると影響は徐々に抜けてきますが、回復の過程で一時的に症状が悪化することも少なくありません。
それが辛い。
「リバウンド」などと言われるその症状は抑え込まずに経過する必要がある、治癒のプロセスではないかと思っています。
タンパク質とアトピー
タンパク質はアトピーを悪化させるとして低タンパク食を勧める専門医もいますが、症状は一時的に改善しても、本質的に治ることはないのではないか。(そういう症例をいくつも見ているので)
むしろしっかりタンパク質を摂り、皮膚や腸壁のバリア機能を高めていくことが本質的な回復につながると思います。
ただし腸が弱っている場合は、いきなり大量のタンパク質を摂るよりも、徐々に慣らしながら増やしたほうが良いでしょう。
アトピー体質の人は胃腸が弱いことが多いですが、肉などを一度にたくさん食べると消化不良を起こすことが多い。
その結果便秘になるとか、ガスが多くなるとか、胃がもたれるといった不快な症状が出ます。
そのような、消化不良状態のまま食べ続けるより、無理なく消化できる量をよく噛んで食べ、徐々に増やしていった方がスムーズに回復できると思います。
また、腸の弱い人が同一のタンパク源を大量に摂り続けるとアレルギーが起こりやすいようです。
卵だけ、チーズだけ、豚肉だけ、、のようにあまり単調になりすぎないようにして、できるだけ食材の種類を増やす。(一食で食べる種類は少なくてOK)
普通、同じ食材を食べ続けると「飽きる」という現象が起こりますが、これは一種の自己防衛本能だと考えています。
肉や卵の他に、小魚、干しエビ、ボーンブロス、ゼラチンなど消化しやすいタンパク源を組み込む。
鰹節や煮干しで出汁をとった味噌汁なんかも良いと思います。
鍼灸治療とアトピー
アトピーの人に鍼灸治療をすると、まれに痒みが悪化することがあります。(非常に稀ですが)
これは「陽気を動かす」ことによるものですが、一時的なものなので心配はありません。
当院で鍼灸によるアトピーの改善は、主に胃腸と内臓、特に腎臓の強化を主眼に置いています。
具体的には太渓、腎兪、関元などの腎臓を補うツボを使い、また、腰や下半身の状態を整えていきます。
また、首や足首も重要な治療ポイントになりますし、頭蓋骨や脊柱に癖のある人はそれを治していきます。
子供の頃からのアトピーは特に腎臓との関連が強く、腎の強化が欠かせません。
このような体質は一目見てわかりますが、回復に時間がかかります。(僕もそういう体質です)
焦らず年単位でじっくり取り組む必要がある。
アトピーだけでなく体質全般を強化していくつもりで、根気よく改善していく心構えが必要です。