肉食的自給自足
以前、「肉食で自給自足できる??~僕が鶏を飼う理由~」という記事を書きました。
そもそも鶏を飼い始めたのも「養鶏なら断糖肉食でも自給できるんじゃないか?」と思ったから。
分業が進んだ今の日本で食料を自給する必要はないのですが、個人的な趣味としてこのテーマに興味があります。
鶏は毎日卵を産みますし、自分で絞めて肉をとることもできる。
雑食性で何でも餌にできる、丈夫で飼いやすい家畜です。
実際に2年間飼育してみましたが、養鶏による自給自足はできると感じています。
今現在、約30羽の産卵鶏を飼育していて、卵は完全に自給しています。
我が家、世間一般から見ると変態レベルにたくさん卵を食べるのですが、30羽の鶏が産む卵で賄うことができている。
しかも全部自分たちで食べているわけじゃなく、土地を貸してくれている人、実家の家族、友人知人におすそ分けする余裕もあります。
ただし鶏の餌は購入しているので、完全な意味での自給自足じゃありませんけど。
それでも日常的に食べる動物性食品を自分で作ることができる。
これは楽しいことです。
一日肉500g
最近「糖質ゼロの食事術」の著者である釜池先生が、一日一食、500gの肉と、少しの野菜だけで若さを保っているという情報を目にしました。
釜池先生は、糖質を一切摂らない食事法の草分け的な医師です。
おそらく長期的に断糖肉食的な食生活を続けたら効率が高まり、その程度の食事量で健康を維持できるようになるんじゃないか、そう思いました。
肉500gというと、けっこう多いと感じるかもしれません。
でも、カロリー換算で、たとえば牛ロースなら1200キロカロリー。
これ、基礎代謝量より少ないエネルギー量です。
一般に男性の基礎代謝量は1500キロカロリーと言われてます。
基礎代謝とは、じっとしていても生命を維持するために必要なエネルギーのこと。
成人男性は一日1,500キロカロリー、女性は1,200キロカロリー必要とされている。
ま、カロリー理論はあまりあてにならないのですが、栄養が充実して代謝効率が高まると、標準的な基礎代謝以下のカロリーで生きることができるのかもしれません。
肉500g+卵6個
でも、今現在の実感として、肉500gだけでは少し足りないと感じます。
あくまで今の自分基準ですが、あと卵3~10個くらいあれば足りる。
鶏は10羽いると、一日最大10個の卵を産みます。
でも常に産卵率100%ということはなくて、産む日も産まない日もある。
エサによってかなり影響を受けますが、暑さ寒さ、台風や騒音なのでも産卵率は変わってしまいます。
素人が飼って60%といったところでしょうか。(10羽なら6個)
この程度の産卵率を前提として、一日500gの鶏肉、鶏ガラスープ、6個の卵で生活するためには鶏を何羽飼えばいいか試算してみました。
摂取カロリーだと、鶏肉と卵で約1600キロカロリー程度になります。
足りなければ、必要に応じて他の動物性食品、野菜や果物、イモや穀物なども食べるといいでしょう。
肉鶏120羽+産卵鶏10羽
肉500gと卵6個を毎日食べるとしたら、おそらく肉鶏120羽と産卵鶏10羽で一年分の食料を自給できると思う。(一人分)
肉鶏1羽から1500gの肉が取れるとして、1羽で3日分になります。
120羽で360日、、約一年分の肉をまかなえます。他に鶏ガラスープも飲める。
実際には2キロ越えの鶏もいますから、端数のつじつまは合うでしょう。
肉鶏は100日くらいで食用にするとして、年5回に分けて肉鶏のヒナを入れ、大きくなったものから順に食べる。
24羽を2~3か月おきに入れて、3か月くらい経ったら大きな鶏から順に食べていく。
そうすると常時60羽程度の規模になると思います。
一般的に地鶏の飼育期間は100日くらい、ブロイラーはその半分の期間のようですが、地鶏の飼育日数に合わせました。
ブロイラーを飼ったら、飼育日数を短くすることができるかもしれません。
やったわけじゃないので試算通りになるかわかりませんが、仮にこれでいけるとする。
すると、、
1人なら、年間120羽の肉鶏+産卵鶏10羽、常時60羽
2人なら、肉鶏240羽+産卵鶏20羽、、常時120羽
3人なら、肉鶏360羽+産卵鶏30羽、、常時180羽
4人なら、肉鶏480羽+産卵鶏40羽、。常時240羽
5人なら、肉鶏600羽+産卵鶏50羽、、常時300羽
このくらいの飼育羽数で「鶏の自給ライフ」が実現できる。
これだけの鶏を絞めて捌く作業は大変ですが、、たぶん、やればできます。
鶏の餌も自給するなら?
次に、鶏の餌も自給するとしたらどうか考えてみます。
おそらく、常時300羽程度までなら餌を自給するとしても不可能じゃないはず。
ただし専業農家レベルの農地が必要になると思います。
一般的な養鶏では、鶏の餌のほとんどは穀物。
配合にもよりますが、だいたい70%くらいはトウモロコシやコメ、麦、雑穀などで、米ぬかなどの「糠成分」や菜種油の搾りかす、大豆なども使われています。
そのほか魚粉をタンパク源に、牡蠣殻をミネラル源として与えていることが多い。
あと緑餌として、生の草や野菜なども与えると好んで食べます。
魚粉や牡蠣殻はどこかから持ってくることになりますが、他の穀類や豆、緑餌は自分で作ることもできる。
産卵鶏の餌の量は、一般に一日120g程度だとされています。
また肉鶏は、一キロ増えるのに2.2~2.3キロの餌を必要とするようですが、これはブロイラーだと思うので地鶏系だともう少し多いかも。
地鶏は豚と同じくらい餌を必要とすると聞いたので、仮に1キロ増えるのに3キロの餌を食べるとすると、、1人一年分の肉を生産するのに約550キロの餌が必要になる。(一日分の肉 500g × 365日 × 3=547.5kg)
ただし、これは精肉の重量。
骨や食べられない部があるので、精肉の重さは生体重量の半分だとすると、、餌は上記の倍くらい必要になる。
すると年間約1,000キロ、、1トンか!(笑)
産卵鶏は10羽で年間438キロの餌を食べる。(120g×10×365=438kg)
ただし産卵鶏はこのほかに、卵を産み始めるまでの飼育期間があるので、約500キロとします。
かなりアバウトですが、一人が自給するための鶏の餌は、年間1,500キロくらい必要になると思う。
1,500キロの餌で、182.5キロの鶏肉、120羽分の鶏ガラ、2190個の卵を生産することになります。
知り合いの有機農家がコメを作ったとき、無農薬でやると一反5俵くらいだと言っていました。
米1俵が60キロだから、、エサが全部米だったら年間25俵必要。
1反5俵の収量で計算すると、、約5反の農地で穀物を作ると餌の大部分をまかなうことができるはず。
1人5反、5人なら25反、、25反というと、日本の農家の平均耕作面積に近い広さです。
もしかすると、米ではなく飼料用のトウモロコシなどを栽培すれば、もう少し効率がいいかもしれません。
実子重量で10アール(約1反)あたり1,000キロ超えてるけど、、芯の部分も入ってるのかな?
穀物栽培などは、実際にある程度の規模でやってみないとわからないですね。
でも、米、麦、トウモロコシ、アワやヒエなどの雑穀、サツマイモ、ジャガイモ、カボチャ、いろいろな作物をエサとして使うことができるので、土地の利用効率は一つの作物だけで考えた場合よりずっと高いんじゃないかと思います。
冬も麦などの作物が育つ地域なら、1人3反くらいの農地があれば、鶏の餌をほぼ自給できるんじゃないか。
ストイックに自給自足(しかも鶏だけ)にこだわるなら、、ですが、試算はこうなりました。(どれだけ現実からズレてるか、今はわかりません)
でも、実際には鶏肉と卵しか食べないってことはありませんね。
鶏の他にヤギを飼ったり、狩猟、釣り、網漁なんかを組み合わせると、もっと無理のない形で動物性食品を自給できると考えています。
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