腸内細菌の乱れ
先日、小腸の中には腸内細菌が少ないということを書きました。
(こちらの記事です→「腸内細菌は腸のどこにいる?」)
本来はそうなのですが、小腸の中で細菌が増えてしまうことがあります。
腸内細菌が乱れる、腸内細菌が異常増殖する、、などとよく言われますが、
このような言葉の一部は、小腸内での細菌の異常増殖を指しています。
原因はさまざま、例えば、胃酸の分泌不足が原因になることもあります。
でも、ほとんどは食べ物の問題、、つまり、
餌になるものをたくさん食べることで細菌が異常に増えてしまう、
普通は、そっちの方が問題にされています。
腸カンジダ
腸カンジダという病気があります。
カンジダは真菌と呼ばれる細菌で、カビやキノコ菌の仲間です。
身近なところでは、パンを膨らませるイースト菌もカンジタの仲間。
パンを手作りしたことがある人はわかると思いますが、
パンのイーストは砂糖を入れると活発に醗酵し、パン生地がぐんぐん膨らみますね。
カンジダはイーストの仲間なので、やはり砂糖が大好き。
日常的に砂糖を食べていると、腸の中でどんどん増えてしまうようです。
このように、小腸の中でカンジダが増殖してしまう状態を、
「腸カンジダ症」といいます。
カンジダは腸の常在菌
カンジダはもともと腸内に住んでいる「常在菌」です。
健康な人の腸内では、他の腸内細菌と穏便に共生しています。
正常な状態で害はなく、特に除菌する必要もありません。
でもカンジダは、大好きな砂糖を与えられると増えすぎてしまうんです。
そして困ったことに、カンジダが異常増殖した結果、
小腸の粘膜に炎症が起こると言われています。
この炎症は近年、アトピーやアレルギーなど免疫系の病気の原因として注目されています。
小腸粘膜が持つ2つの役割
小腸の粘膜には、2つの大きな役割があります。
一つは、免疫機能。
じつは小腸には全身の免疫細胞のうち6~7割のが集まっています。
これは腸管免疫と呼ばれ、全身の免疫機能にとって重要なんです。
小腸の機能が高ければ、全身の免疫力が高まりますが、
小腸機能が低下すると、免疫力も下がってしまいます。
もう一つの役割は、消化した栄養素を吸収して、血管内に取り込むこと。
正常な状態では、未消化のタンパク質などは小腸粘膜を通過することができません。
小腸では、免疫細胞と粘膜の働きによって、
取り込むべきものとそうでないものを正確に分けています。
リーキーガット症候群
このように小腸の粘膜は重要な働きをしていますが、
もしここに炎症が起こると、重要な機能が損なわれてしまうんです。
小腸の粘膜では取り込むべき物質とそうでないものを峻別しています。
しかし粘膜に炎症が起きると、穴があいたような状態になり、
本来体内に入ることができないような未消化の物質まで粘膜を通過してしまう。
これを「リーキーガット症候群」呼んでいますが、
腸が炎症で傷つき、穴があいて『だだ漏れ』状態になってしまった状態。
アトピーやアレルギー、ぜんそくなど、免疫系の病気の原因になると言われています。
つまり腸カンジダになると腸内に炎症が起きて、リーキーガット症候群になってしまうんです。
エサを与えないこと
腸カンジダの主な原因として、
砂糖や精白された糖質の過剰摂取が考えられます。
カンジダ菌は糖が好きだから、たくさん与えていると増えすぎてしまうんですね。
カンジダはもともと常在菌なので、特に悪いものではありません。
おそらく存在するからには、ほんらいの役割があるのでしょう。
でも、砂糖や精白された穀物を大量に食べることで、
カンジダに餌を与えることになり、増えすぎてしまいます。
だから、対策カンタン。
砂糖をやめる、精白された穀物を控える。
穀物や果物を含めた糖質全般の過剰摂取を控えればいいんです。
餌を失ったカンジダは勢いを失い、また元の穏便な生活に戻ることでしょう。
すると粘膜の炎症も治まり、リーキーガットは自然と修復されるはずです。
【砂糖断ち関連の記事はこちら→「砂糖断ち」】
参考文献
「歯医者が虫歯を作っている」長尾 周格 著