虚実と寒熱 東洋医学のからだの見方と体質を知るポイント

kyojitu

体質を知る

東洋医学的な身体の見方がわかると、

自分や家族の体質傾向を理解するのに役立ちます。

日常の食事や生活でセルフケアをするとき、

「虚実」「寒熱」について知っておくと便利です。

東洋医学の身体の見方は、とてもシンプル。

西洋医学の客観的、数値的な身体の見方と違い、

感覚的で、ややアバウトですが、それだけに日常に応用しやすいものです。

東洋医学の身体の見方はいろいろありますが、

中でもまず、虚実と寒熱について大まかに理解出来たら、

自分の体質傾向を把握しやすくなるでしょう。

虚実とは

まず、体質判断の中心となる、虚実という概念について説明します。

「虚(きょ)」は、中身がない、空っぽ、という意味。

よく、虚弱体質という言い方をしますが、

これは体力や抵抗力、エネルギーが弱い人のことですね。

「実(じつ)」とは、中身がある、充分である、満ちている、という意味。

体質的な実は、体格がよく、体力があり、エネルギーに満ちた状態。

以下に、虚、実、それぞれの特徴を挙げます。

虚(きょ)の体質傾向

やせ形の体形

物静かで活動的ではない

委縮しやすい性格

あまりしゃべらない

顔や肌に艶がない

少食

水をあまり飲まない

寝汗や冷や汗をかく

慢性的な疲労感がある

免疫力が弱い

生理不順がある(女性)

眠れない、眠りが浅い、夢を見る

下痢しやすい

脈が細く弱々しい

筋肉がなく、ブヨブヨして柔らかい

実(じつ)の体質傾向

がっちりした体形

活動的で活発

外向的で発散型の精神傾向

よくしゃべる

顔や肌に艶がある

食欲旺盛

のどが渇きやすい

爽快な汗をかく

疲れにくい

免疫力が高い

定期的で正常な月経(女性)

毎晩熟睡できる

便秘しやすい

脈が力強い

筋肉が多く、強く、硬い

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体質的な虚実のイメージはざっとこんな感じです。

どっちかというと虚の方が不健康な感じがしますが、

実系の人が体力に任せて暴走すると、

激しい症状に悩まされることもあります。

虚実は良い悪いではなく体力やエネルギーのある・なし、

ものごとの対極を表現していて、

東洋医学では適度にバランスの取れた状態がよしとされます。

ただ、身体の発育という意味では「実」傾向に、

できるだけ充実させた上で適切に使っていくのが望ましいでしょうね。

でも、大人の場合は後からでは変えられない部分も多い。

また、遺伝的な要因もあるので、

虚は虚なりにうまく使う、実は実なりにうまく使う。

体質傾向を理解したうえで「自分に合わせた」心身の使い方を心がけることを、

東洋医学では勧めています。

暑いか冷たいか 寒熱

次に、寒熱について説明します。

寒熱(かんねつ)とは、熱いか冷たいか、ということ。

身体は正常な状態では適度な温かさがありますが、

体力が落ち、代謝が低下すると冷えてきて、寒の状態に傾きます。

また、体力はあるけれど機能に異常が出ている場合、

過剰な熱を持ちやすくなり、熱の状態に傾きます。

代謝が活発で元気があり、

冷えることなく、異常に熱がこもることもない。

そのような状態が理想的な状態ですが、

多くの人はどちらかに偏りやすい体質傾向を持っています。

つまり体質的には大きく「寒型」と「熱型」に分けられています。

これは、冷えやすい傾向と熱がこもりやすい傾向があるということです。

以下に、体質的な寒と熱、それぞれの特徴を挙げます。

寒の体質傾向

寒がりで、いつも厚着をする

顔色が青白い

唇が白くて乾いている

手足が冷える

暖かい飲み物を好む

尿が多くて色が薄い

熱の体質傾向

暑がりでいつも薄着

顔色が紅潮している

唇が紅色で潤いがある

身体が熱を持ちやすい

冷たい飲み物を好む

尿が少なくて色が濃い

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ちなみに、病的な状態では寒熱が複雑に入り混じっていることがあります。

あくまで健康な人の、大まかな体質傾向と思ってください。

虚と寒 実と熱

これらの四つの性質、虚、実、寒、熱は、

個人の体質として独立している場合よりも、

虚と寒が一緒になり、実と熱が一緒になっていることが多いです。

一般的に実の人は体力があるので熱を発しやすく、

その熱がこもることでトラブルが起きやすい。

虚の人は体力がないので熱を生産できず、

冷えと循環障害による慢性的なトラブルが起こりやすい。

大まかにですが、このような傾向があります。

ただし、実際の身体はこのようにシンプルには弁別できないことも多いです。

実なのに冷えていたり、

虚なのに炎症性のトラブル(=熱)に悩まされていることは少なくありません。

病的になるほど、そして長引くほど複雑になってくるので、

専門家による分析が必要になってきます。

でも、大まかな傾向として、生まれ持った体力のある・なし、

熱を持ちやすいのか冷えやすいのかは、自己観察でもわかります。

このような虚実寒熱の体質傾向を知っておけば、

健康情報を取り入れたり、日常でのセルフケアにも役立つでしょう。

やってはいけないセルフケア

例えば、虚が甚だしい人が「毒出し」にハマりすぎると、

虚がもっとひどくなります。

もともと足りないのですから、デトックスするほどの体力がない。

これ、実際にやってる人が多いんですよ。

でも、実傾向の強い人なら、毒出しで体がスッキリするかもしれません。

排毒を促す食品をたくさん食べたり、飲んだり、

または、断食して調子が良くなるのも実傾向の人たちでしょう。

寒熱についていえば、

冷えが甚だしい人が「身体をあたためる健康法」を行うと、

多かれ少なかれ効果を実感できると思います。

少なくとも、当面の生活は楽になるでしょう。

でも「万病に効く!」などと聞いて、

熱症状の強い人がせっせと冷え取りや保温を行えば、

こもった熱がさらにひどくなります。

鍼灸臨床では、この虚実寒熱の操作を鍼とお灸で行いますが、

熱に対して、さらに熱を加える、

虚の人から、さらに気血を抜いてしまう、、

このようなことをすると治療に失敗し、かえって悪くなってしまいます。

体質に合わせた養生法

虚・寒の人は、日ごろから体力を高める努力をする。

それは体力見合った活動や運動、十分な栄養、休息などです。

実・熱の人は、体力を過信して無理を続けたり、

過剰な熱源(糖質やアルコール)を摂り込まないようにします。

そして仕事や運動でエネルギーを上手く発散する。

体力はあるので、適度に使ってやると健康を保ちやすいんです。

参考文献

「中医営養学」山崎 郁子 著 (第一出版社)