酸性食品・アルカリ性食品のウソ

namaniku

肉を食べると血液が酸性になる!?

食事法を教える人の中には、

食品の酸性・アルカリ性を言う人がいます。

たとえば肉は酸性食品だから、

たくさん食べると血液が酸性になるとか、

野菜はアルカリ性食品だから健康にいいとか。

信じてる人いますか??

これ、嘘ですよ。

酸性 / アルカリ性

酸性・アルカリ性というと、リトマス試験紙を思い出します。

子供のころに理科の実験で使いましたよね?

青いリトマス試験紙が、赤く変われば酸性

赤いリトマス試験紙が青く変わればアルカリ性

変わらなければ中性です。

酸性食品、アルカリ性食品などと言われると、

食品そのものの酸・アルカリを測定しているのかと思ってしまいますが、

実は、そうではありません。

食べ物を高温で燃やしたあと、

残った『灰』の成分を分析し、区別しています。

500度で燃やした灰を分析

例えば、キャベツ100グラムを500度の温度で燃やして灰にします。

その灰を水に溶かして、ミネラル成分を検出します。

ミネラルの中で、リン、硫黄など体内で酸性を示す成分と、

ナトリウム、マグネシウム、カリウムなどアルカリ性を示す成分

どちらが多いかで酸性食品・アルカリ性食品を区別しています。

つまり食品そのものの酸性・アルカリ性を測定しているわけじゃありません。

それで酸っぱい梅干しがアルカリ性食品に分類されていたりします。

野菜の多くは燃やした後の灰にアルカリ成分が多いので『アルカリ性食品』

肉や魚など動物性食品の多くは酸性成分が多いので『酸性食品』と分類されています。

でも、食品として摂取したときに、

このような酸・アルカリが体内のペーハーにそのまま反映するのでしょうか?

furasuko

酸・アルカリ平衡

身体の中では、食品を高温で燃やしているわけではありません。

500度で燃やしたりするのとはまったく違う化学反応によって、

食べ物を消化・吸収しています。

試験管内で起こる化学反応と、人体の中で起こる反応はちがいますが、

実際のところ食べ物は、血液のペーハーにどのような影響を及ぼすでしょうか?

血液は、PH7.35~7.45の弱アルカリ性に保たれています。

※PH(ペーハー)は、酸・アルカリを示す指標、

7が中性、7以上はアルカリ性、7以下は酸性を示す。

そこへ、例えばアルカリ成分の多い食品を食べたとします。

この食品はどうなるでしょうか?

まず、胃の中に入れば胃酸のためにすぐに酸性なります。

胃酸は、PH1~2の強力な酸です。

そして十二指腸に入ればアルカリ性の消化液によってアルカリ性になる。

これは酸性成分の多い食品でも同じことです。

もし、酸性成分やアルカリ成分が多い食品をたくさん食べたとしても、

体内では赤血球、肺、腎臓などが酸性・アルカリ性を調整して、

PHを常に7.35~7.45に保つ仕組みになっています。

このように血液のPHをほぼ一定に保つシステムは、

「酸アルカリ平衡(へいこう)」と呼ばれています。

これは体内環境を一定に保つ仕組みの一つで、

寒くても熱くても体温が一定に保たれているのと同じ。

体の状態を一定に保つ『恒常性機能』の一部です。

血液のPHは一定に保たれる

ですから酸性食品をたくさん食べても、

血液のPHが大きく変わることはありません。

酸性食品をたくさん食べると血液が酸性になって病気になる、、

このようなこともありません。

ただし病気によってPHのバランスが崩れることはあります。

例えば激しい嘔吐、利尿剤、ホルモン剤の副作用でアルカリ性に偏ることがあります。

PHが7.45を超えるとアルカリ性血(アルカローシス)になり、

PHが8.0を超えると、人間は死んでしまいます。

逆に、下痢、糖尿病、腎臓病などでPHが酸性に傾き、7.35を下回ると、

酸性血(アシドーシス)になり、PHが6.8を下回ると死んでしまいます。

このように、血液が酸性・アルカリ性になるのは病気の場合で、

直接命にかかわるような大変な事態なんです。

でも健康な人の血液が食事の内容の違いによって、

酸性になったりアルカリ性になったりすることはありません。

肉、魚、卵、チーズなどの動物性食品を食べると、

血液が酸性になって病気になると思っている人がいますが、

そのような心配はまったくないと言って間違いないでしょう。

血液をアルカリ性にする方法

それでも、何となく不安に思う人がいるかもしれませんね。

そういう人のために『血液をアルカリ性に調整する方法』を教えます。

深呼吸してください。

深呼吸をすると血液は若干アルカリ性になりますから、

それで大丈夫。

呼吸は、血液のPH調整に重要な働きをしています。

血液中の二酸化炭素は血液を酸性にします。

深呼吸をして二酸化炭素を肺から排泄すると、

血液中の二酸化炭素濃度も下がり、血液はアルカリ性に偏ります。

脳は、呼吸の速さと深さを調節することで二酸化炭素の量を調節していますが、

意図的に深呼吸すると、少しアルカリ性に偏らせることができる。

やりすぎると過呼吸症候群のようになり、手足がしびれたりします。

これは血液が「アルカローシス」を起こすことによって起こる症状ですが、

もちろん、ちょっと深呼吸するくらいなら心配はありません。

血液のPHは呼吸のほか、腎臓によっても調整されています。

過剰な酸やアルカリ成分は、尿から排泄する仕組みになっているんです。

また、重炭酸イオンを中心とした「緩衝系」の働きによっても調整されている。

このように身体には、体内環境を一定に保つ仕組みが備わっています。

ですから食べ物のPHを気にする必要はないと思いますよ。

 

sinkokyu

参考文献

『「健康食」はウソだらけ』 三好基晴 著