食事法による過食
ときどき、無理な食事法や断食によって過食症になる人がいます。
断食、菜食、糖質制限、、やり方が不適切ならどれでも過食の原因になりますね。
僕の患者さんの中にも、そういう人が何人かいました。
中にはプロの指導を受け、数か月間ニンジンジュースだけ飲み続けたら過食になったという人もいました。
そりゃそうでしょう。
飢餓状態になりますから。
断食や極端な少食、菜食の食事法で過食になるのは、単純に、長期に渡る栄養不足によるものでしょうね。
別に病気になったわけじゃなくて、飢餓状態から回復するための正常な生理的反応が起きているだけだと思います。
また、食べたい欲求を抑え切れずに爆発するように食べてしまうという、精神的な反動もあるでしょう。
例えば、ダイエットなどで我慢して、我慢して、結局我慢しきれずにドカ食いしてしまう。
このような体験をすると食欲に負けた自己嫌悪と太ることへの恐怖から、精神的に不安定になる人も少なくないようですね。
女性に多いパターンです。
そして、指を突っ込んで吐いたりする。
そして、、また食べる。
人知れずそんなことを繰り返している人は、けっこういます。
過食症から抜け出す方法
一度このような状態にハマってしまうと、なかなか抜け出すことができません。
でも、食事法や断食によって生じた過食症は、生理的な、正常な欲求でしょう。
また、心の病やストレスが原因と思われる場合でも、背景に栄養不足が原因しているケースが少なくない。
このような過食症は、食事を修正することで治ります。
もし、断食や少食、菜食などから過食症化したなら、動物性の食べ物を毎日たっぷり食べること。
これに尽きる。
続けているとやがて満たされて、過食衝動が無くなってくると思います。
また、糖質制限系の食事法で過食症になる人もいます。
このような場合、糖質制限と同時にカロリー制限もしているような人が多い。
あるいは、いきなり厳密な糖質制限をして、身体がおかしくなってしまうこともある。
これは脂質代謝(脂質をエネルギー源として使う代謝回路)が正常にはたらいていないことが主な原因のようです。
つまり、糖質をいきなり一切やめたのに、脂質を使えない。
このような場合、エネルギー不足で倒れてしまうこともあるので注意が必要です。
糖質を減らすなら脂質を増やす
基本的に、糖質を減らすなら、その分脂質を多く摂る必要があります。
人の身体は、糖質か脂質が主なエネルギー源だから。
糖質も脂質も両方減らしたら、そりゃ痩せるでしょうけど、断食してるようなもの。
痩せるというよりは、栄養不足でやつれる感じになります。
もちろん、長期間続ければ飢餓状態になるので危険です。
また、カロリー制限と糖質制限がごっちゃになっている人はけっこういるようです。
太るから糖質を食べない。
太るから脂も食べない。
そしてササミなど脂の少ない肉と、野菜ばかりの食事をしていたりする。
これではエネルギー不足に陥るので、体調不良になりますし、その反動で糖質をドカ食いするような事にもなりやすいです。
でもこれって、病気じゃなくて身体の自然な欲求ですよね。
生きるための。
自分を責めることについて
過食に悩む人の多くは、自分を責めています。
食欲をコントロールできない自分が許せないと感じる。
痩せない自分が許せないと感じる。
ダイエットなど、食事の間違いによって生じた過食症でも、ひたすら自分を責めている人がいます。
「自分を責めないで」という優しいアドバイスをしている人が多いですが、僕は責めてもいいと思う。
でも、どうせ責めるなら、食欲を我慢できない自分を責めるんじゃなくて、無駄に飢餓状態を作って身体をいじめた自分を責めるといいでしょう。
身体がかわいそうです。
糖質制限ならカロリー無制限
このようなわけで、断食や粗食・菜食の長期に渡る実践は、注意が必要です。
単純に、栄養失調、飢餓状態になってしまうから。
生命力の強い人ほど、飢餓状態から回復しようと強烈な食欲が出てきます。
また、糖質制限についても同じようなリスクがあります。
糖質制限するなら、カロリーは無制限にした方が安全です。
つまり脂質をたっぷりとること。
高カロリーだからと脂質まで制限すると、エネルギーが不足して元気がなくなります。
低カロリーの糖質制限で過食になるのは、飢餓状態から回復しようとする自然な反応。
ストレスや罪悪感は症状を増悪させていると思いますが、その背景に、重度の栄養不足があるはずです。
そういう人は糖質を減らすことより先に、脂質やタンパク質豊富な肉系の食材を優先して食べること。
やがて栄養が満たされ、過食衝動は落ち着いてくると思います。(相対的に糖質は減りますし)
糖質制限はダイエット法として流行っていますが、安全に行うなら脂質を十分とる必要がある。
肥満の人以外はたいして痩せないかもしれませんが、健康なレベルよりも痩せることを望むのは、健康上良いことではありません。
特に、ダイエットに失敗して過食になったような人は、過食傾向が完治してから、いかに健康的に痩せるかを考えたらいいと思います。