首を揉んではいけない!!~自律神経と首のコリ~

kubikori

自律神経と首のコリ

首は非常にデリケートなところなので、不用意にもんだり、伸ばしたり、引っ張ったりしてはいけません。

凝り固まった筋肉は傷みやすく、首の筋肉を傷めると、自律神経に異常をきたします。

首コリがひどくなると自律神経の不調による症状、、

頭痛、めまい、胃腸症状、うつやパニック障害、慢性疲労、不眠症など、、様々な不調の原因になるという説があります。

僕は首コリさんを日々治療していますが、この説は臨床の実感と一致します。

鍼灸院にはいろいろな症状の患者さんが来ます。

一般的には、腰痛や肩こり、関節の痛みの治療に効果があると思われていて、やはりそのような症状の患者さんが多いです。

その一方、体力がない、冷え性、慢性疲労、胃腸虚弱など、虚弱体質を治したいという患者さんも少なくありません。

こういった慢性症状は、自律神経とも関係しています。

自律神経症状を訴える患者さんのうち、首にコリがあれば重要な治療ポイントです。

僕は東洋医学の視点から内臓を中心とした体の診方をしているので、虚弱体質の改善などは内臓機能を高めていく治療と、食事法を組み合わせて行っています。

その時、患者さんの訴えでなかったとしても「首コリの治療」を重要視しています。

首は自律神経と関連しているので、首が緊張した状態では胃腸などの内臓も十分に働かないからです。

実際に、体質改善が必要な患者さんの首を触ると、異常に凝っていることが少なくありません。

そして首肩のコリをほぐすと気分がスッキリし、食欲が出てくる患者さんも多いんです。

首は脳の一部

首のコリと自律神経の関連性について、参考になる本があります。

松井孝嘉先生の「首は絶対にもんではいけない!」という本には、首は脳の一部であると書かれていて、首コリと自律神経の関係がわかりやすく書かれています。

首は絶対にもんではいけない! 首は脳の一部、強くもむと不調を引き起こす (講談社の実用BOOK)

首の後ろには副交感神経のセンターがあり、首の筋肉にわずかな障害が起きても、自律神経にまつわる様々なトラブルを生じます。

頭を支える首の筋肉はとても細いものが多く、後頭部は特に疲労がたまりやすいところです。

疲労がたまって凝り固まった筋肉を強い力でぐいぐいと押したりしたら、筋肉は傷んでしまいます。

本のタイトルである「首は絶対にもんではいけない!」というのは、首コリを不用意にもみほぐせばかえって筋肉を傷め、自律神経を介して全身症状へと波及してしまうという意味。

パソコンやスマホで長時間同じ姿勢を続けると、どうしても首がこっていましますが、それは結構重大な症状なんですね。

このような原因で生じた自律神経性のトラブルは、首の筋肉を休ませ、凝りを緩めることで解消してきます。

首を揉んではいけない!

一般的には、首が凝ると揉みほぐしたり、ストレッチしますね。

不快感があまりに強いと、ガンガンと叩いている人もいます。

松井先生によれば、これは絶対にしてはいけないこと。

首の筋肉が痛み、症状が悪化してしまうからです。

マッサージや整体、接骨院に行って強く揉んでもらうことも止めたほうがいい。

他に、整形外科で行う牽引、頸椎カラーなどによる固定、冷やす、このようなことをすると首の状態を悪化させます。

何故かと言えば、首の筋肉は頭の重み(5~6kg)を、常に支えて、とても疲労しているから。

疲労して凝り固まった筋肉を無理やり伸ばせば、痛めてしまうリスクが高いのです。

また、首の疲労は長時間同じ姿勢を強いられ、自然な動きが出来ないことで起こります。

頸椎カラーなどの器具で固定すれば動きはさらに妨げられ、コリが悪化してしまうでしょう。

凝った筋肉は血液循環が悪くなっていますが、首を冷やせばさらに血流が悪くなります。

首は脳の血流量や脳脊髄液の循環にも影響していますから、血流をよくするためにも、首のコリは温めたほうがいいんです。

首コリの治療で治る17の疾患

「首は絶対にもんではいけない!」には、首コリから生じる疾患には次のようなものがあり、首コリの治療でこれらの疾患が治ると書かれています。

その疾患とは、

1.頭痛

2.めまい

3.自律神経失調症

4.パニック障害

5.新型うつ(自律神経型うつ

6.慢性疲労症候群

7.更年期障害

8.血圧不安定症

9.むち打ち症

10.ドライアイ

11.不眠症

12.多汗症

13.機能性胃腸症

14.過敏性腸症候群

15.食道嚥下障害

16.DVT症候群

17.ドライマウス

これらの症状には自律神経の異常が関係していて、首コリの治療で治っているとのこと。

もちろん、これらのすべてが首のコリによって生じるということはないでしょう。

症状を引き起こす要因は様々ですが、首のコリから来る自律神経の不調が直接間接に関係しているということだと思います。

そして、首コリの治療をして筋肉を正常化することで、治癒または改善できると書かれています。

首コリの治療

首コリの治療とは、具体的には首の緊張をほぐし、休め、緩めることです。

首の筋肉は過度の疲労によって凝り固まっているので、休め、緩め、回復させてやります。

そのためには、首にかかっている負荷を一時取り除く必要があります。

首の負担を減らす方法として、まず、うつむき姿勢や前傾姿勢の時間を減らすことが大切です。

長時間うつむき姿勢でPCやスマホの画面を見ていると、頭を支える首の後ろの筋肉が硬直してきます。

これを防ぐためには、長い時間うつむき姿勢を続けないようにします。

そのために、

●できるだけうつむき姿勢を取らない

●15分おきに動かす

●首の筋肉そのものを鍛えて強い首を作る

「首は絶対にもんではいけない!」には、このように書かれています。

パソコンやスマホなどの画面を見るときは、なるべく画面が目線と平行になるようにします。

そうすると首の後ろの筋肉の負荷が軽くなり、疲労を防ぐことがでる。

また、15分おきに姿勢を変え、30秒くらいかけて首の緊張を緩めてやること。

筋肉は同じ姿勢で長時間動かないでいると、どんどん緊張し、硬くなってしまうからです。

首の筋肉を鍛えることについては、もちろん適度な運動とタンパク質を中心とした十分な栄養摂取も重要なポイントになります。

ところで、松井先生は首コリをどうやって治療しているのか、、と思ったら、鍼灸でした。

首コリは鍼灸で治りやすい

松井先生のクリニック「東京脳神経センター」では、首コリの治療を鍼灸で行っているようです。

(実は、時々患者さんが流れてきます)

鍼灸の他に、電気療法や温熱療法も併用しているようですね。

実際に、コリを一番簡単に、しかも安全にほぐす方法は、温めること。

首コリは、後頭部や首すじを熱い蒸しタオルで温めると血行が良くなって緩みます。

また、松井式の「首の体操」や「首を休めるエクササイズ」もやってみましたが、なかなか効果があります。

これらは「首は絶対にもんではいけない!」にイラスト付きで説明されているので、興味ある人は読んでみてください。

鍼灸をやってる実感として、首コリは、鍼灸(特に鍼)で解消しやすい症状です。

軽度の人は自分でエクササイズなどして治すことができますが、重度の場合は治療が必要かもしれません。

ゴリゴリと線維化したような古い凝りも、何度か繰り返し施術していると正常化してきます。

組織が正常化するに伴い、首コリに伴う頭痛などの症状も短期間で解消することが多いんです。

鍼灸は、筋肉を傷めずにコリを緩めることができるため、首コリの治療に適しています。

首に鍼を刺すことを不安に感じる人もいると思いますが、後頭部や首の後ろの筋肉は意外と深いため、鍼治療の安全性も高い場所です。

(もちろん施術は、信頼できる専門家に任せてください)

参考文献

「首は絶対に揉んではいけない!」松井孝嘉 著 (講談社)