胃腸が弱い人の栄養補給には鶏がらスープがおすすめ

suputori

鶏ガラスープの効用

最近、頻繁に鶏がらのスープを飲んでいます。

ほぼ毎日と言っていいくらい。

鶏がら、手羽先、手羽元などを煮込んで軽く塩味を付けたスープ。

時間をかけてじっくり煮込むほど味が出ます。

以前、ゼラチンの効用について書きました。

コラーゲンの材料になる食品~ゼラチンの効用~

2016.09.02

ゼラチンは骨や軟骨などに含まれるコラーゲン繊維から抽出されたタンパク質です。

コラーゲン繊維は骨、軟骨、人体、皮膚、血管、網膜などの主成分。

人体を構成するタンパク質の3分の1を占めています。

コラーゲン繊維は、身体の構造を支えているタンパク質でできた繊維で、超重要。

これが弱くなると、血管が脆くなったり、関節が弱くなったり、皮膚にシワができたりします。

日常的にゼラチンをたくさん食べていれば、このコラーゲンの生成を促すはず。

材料がたくさん入ってくることになるからです。(コラーゲン生成にはビタミンCと鉄も重要)

鶏がらスープなどの骨を煮込んだスープには、このゼラチン質がたくさん含まれています。

栄養豊富な骨

骨には意外と栄養が含まれていて、タンパク質の他に、脂質や鉄分も豊富です。

例えば、鶏の骨に含まれる栄養は、

タンパク質16.5%

脂質 15.4%

鉄  5.1mg

これを鶏もも肉と比べてみます。

鶏もも肉の栄養

タンパク質16.2%

脂質 14%

鉄  5mg

意外なことにもも肉と比べても遜色ない栄養価がありますね。

初期人類の主食は骨だった!?

ところで「初期の人類は骨を主食としていた」という仮説がありますが、それと関連して、人類学者 島泰三氏の著書「親指はなぜ太いのか」に次のデータが載っていました。

牛骨(100gあたり)

タンパク質 19.7%

脂質    18.1%

鉄     5.1mg

豚骨

タンパク質 22.3%

脂質    21.6%

鉄     5.5mg

鶏骨

タンパク質 16.5%

脂質    15.4%

鉄     5.1mg

(菅野、1990「親指はなぜ太いのか」P.203表より引用)

タンパク質と脂質も肉並みですが、鉄分も多いですね。

レバーに劣らない鉄の多さですから、骨のスープは鉄不足解消にも一役買いそうだと思いました。

ちなみにこの本「親指はなぜ太いのか」は、ヒトの主食と手、口、歯の形状についての考察が非常に面白いです。

理路整然と淡々と展開される論理は読みごたえがあり、島氏の「初期人類の主食は骨だった」という仮説に素直に納得してしまいました。

香港の養生スープ

話が少しずれましたが、鶏がらスープについて。

現代人にとって「骨を食べる」のはちょっと無理がありますね。

でも、骨を煮込んだスープなら世界中で食べられています。

鶏がらスープや豚骨スープ、魚のあら汁などのスープは、骨の栄養が溶けだした栄養豊富なたべもの。

栄養成分が溶け込んでいるので、タンパク質もミネラルも、固形物より消化吸収されやすいと思います。

僕は少し前から、胃腸虚弱でお肉をたくさん食べられないような人には骨のスープを勧めています。

手元に「世界一の養生ご飯」という本があります。

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チキンスープと季節の食材を使って、漢方的な視点からの食養生を紹介した本です。

著者によると、香港では日常的にお茶のような感覚で、作り置きしたスープを飲む習慣があるとのこと。

それが香港人の健康の秘訣だと書かれていますが、確かに、栄養的に素晴らしい習慣だと思いました。

中医学で鶏は身体を温めて、胃やすい臓を助ける滋養食だとされています。

鶏肉には、

気や血を補う(疲労を回復し体力を付ける)

胃腸を温め、働きを助ける(食欲不振、下痢や便秘症の改善)

などの働きがある。

中国明代の医古典「本草綱目」にも、鶏は肝肺腎の内臓を補強し、脾臓と胃を整え、婦人病と産後に良いと書かれています。

僕の学んだ東洋医学(和鍼)の中にも「脾と胃が強くなればいいんだ」という考えがありました。

脾と胃とは、つまり胃腸の働きのこと。

これが強くなれば、食べ物から栄養を十分に吸収できるようになり、栄養が充実し、代謝が活発になり、生命力が高まってくる。

そのような効果のある鶏は、古代からあるスーパーフードだと思います。

チキンスープ生活

チキンスープも骨のスープも、骨付き肉、鶏ガラや豚骨などを煮込めばできる簡単なもの。

適当に煮込んでもOKだと思いますが参考までに「世界一の養生ごはん」に載っている基本のチキンスープのレシピを紹介します。

基本のチキンスープ材料

●丸鶏 1羽
●水  2リットル
●塩 少々
●生姜 2スライス

作り方
丸鶏と水を鍋に入れて沸騰させ、生姜も入れる。
再沸騰したら中火にし、塩を入れ、少なくとも30~45分煮る。
必ずふたはする。出来上がりのスープ量は、半分~2/3くらいに。

(「世界一の養生ご飯」P23から引用)

このレシピでは鶏を丸ごと煮込んでいますね。

ある料理研究家の話では、こういったスープを美味しく作るコツは「肉付きのまま」煮ることにあるんだとか。

栄養的には骨やガラだけ煮込んでも価値があると思いますが、やはり肉付きの方が美味しい。

それと、じっくり時間をかけて煮込むこと。

こうして作ったチキンスープは、冷凍で1カ月、冷蔵で2~3日程度は持ちます。

大きい鍋で作り置きして、お茶代わりにしょっちゅう飲むと良さそうです。

去年モンゴル遊牧民族を訪ねた吉冨信長さんによれば、モンゴルでのお肉の食べ方はすべて「煮込み料理」だったとのこと。

寒い気候や調理法の簡単さもあると思いますが、肉の栄養を余すところなく取り込むために有効な調理法なのかもしれません。

例えば、鉄や亜鉛などのミネラルは「イオン化」することで吸収されやすい状態になります。

ミネラルのイオン化には胃酸がしっかり出ていることが大切ですが、調理法としてはじっくり煮込むことで水に溶け込み、不足しがちなミネラルの吸収率も高まると思います。

小腸を元気にする

ゼラチン質に多く含まれる「グルタミン」という成分は、小腸のエネルギー源になります。

栄養の吸収はほとんど小腸上部で行われていますが、例えば、鉄不足、タンパク不足を解消しようとするとき、小腸に炎症があったり機能が低下していたら、いくら食べても吸収されません。

腸の機能や健康については、腸内細菌のことが良く取り沙汰されます。

でも、小腸は基本的に、腸内細菌が少ない。

カンジダ菌などが異常に増殖している場合は別として、腸内細菌は主に大腸で重要になる要素です。

小腸の働きは腸内細菌よりも「腸管の細胞そのもの」が活発に働くことが大切なはず。

そう考えると、小腸のエネルギー源になるグルタミンを十分に摂る必要があると思えます。

このような理由もあり、ゼラチンが多く溶け込んだ骨のスープは小腸を活性化すると考えています。

他の栄養素もすべてスープに溶けている状態なので、栄養全般が消化吸収されやすいでしょう。

栄養不足からの回復期や、胃腸虚弱の人は、ぜひ日常的に取り入れてほしい料理ですね。

参考文献

「親指はなぜ太いのか」島 泰三 著

「世界一の養生ごはん」楊 さちこ 著