門脈系 ~座薬が効く理由~

sakanatonihonsyu

門脈

門脈系と呼ばれている血管網があります。

これは胃腸やすい臓、脾臓から集められた血液を肝臓に集めている血管です。

消化された飲食物は、胃腸の粘膜から吸収されて血管内に入ります。

食べ物の養分を豊富に含んだ血液は、そのまま全身を巡るのではなく、

一旦肝臓に送られる仕組みになっている。

IMG※1

肝臓は「栄養の代謝」や「解毒」を担当する臓器です。

胃腸から吸収した栄養物には、毒になるものも含まれているため、

まず肝臓を通過させることで安全性を高めています。

胃腸から肝臓につながる血管網で、

消化吸収の「その後」は、このようになってるんですね。

 

肝臓と血液

よく「肝臓は解毒器官」だと言われますが、解毒しているのは血液中の毒素です。

胃腸から毒になるものや危険な薬品が吸収されてしまっても、

全身に送り出す前に肝臓で解毒できるようになっている。

からだは上手くできていますね。

ちなみに、門脈系には他にも次のような役目があります。

●膵臓から送られた血糖調整ホルモンを肝臓に送り込み、グリコーゲン貯蔵を調節する。

●脾臓で古い赤血球が分解され、その処理によって生じたヘモグロビンの残骸を肝臓に運んで胆汁の材料にする。

このように肝臓の働きは、血液と関係が深いんです。

 

経口薬は肝臓で解毒される

消化管から吸収されるお薬には、口から飲むもの以外に「座薬」があります。

あの、肛門から直腸に入れるやつです。

口から飲むお薬は胃や小腸から吸収されますが、

座薬は肛門から挿入し、直腸から吸収されます。

直腸の位置は腸管の一番下、肛門からすぐのところです。

IMG_0002※2

じつはこの座薬、口から飲むより効果が高いようです。

胃腸から吸収された薬は門脈を流れて肝臓に行きます。

そして肝臓で代謝を受けた後、肺に行き、全身に広がります。

薬の効果は普通、肝臓の代謝を受けると半減してしまうようです。

薬が『解毒』されちゃうんですね。

しかも肝臓に解毒という余計な仕事をさせることにもなります。

 

座薬が効く理由

座薬の場合はどうでしょうか?

じつは、直腸からの血管は、門脈と合流しておらず、

足からの静脈に合流して、そのまま肺に行きます。

つまり座薬として入れた薬は、肝臓を経由せずに全身に広がるんです。

そのため投与量も少なくてすみ、肝臓に負担をかけない投与法だとされています。

ちなみに、、

お酒を肛門から入れるとすごく酔いが回るらしいです。

理屈はわかりますが、試してみたいとは思えませんね。

 

※1 坂井建雄・橋本尚詞著 『ぜんぶわかる人体解剖図』P63より出典
※2 美田誠二著 『得意になる解剖生理』p61より出典

参考文献

『好きになる生理学』 田中 越郎 著