人類が好むたべもの 動物性食品の利点 

tamago3

ヒトの食性

人類は太古の昔から動物性食品を好んで食べてきたようです。

人類学本を調べる限り、これは間違いなさそう。

もちろん動物性食品「だけ」食べてたわけじゃありませんよ。

そういう民族もありますが、多くの民族は雑食性、

動物性のものも植物性ものものも幅広く食べてきました。

ただし純粋に植物性のものだけで健康を維持している民族はおらず、

その割合にはかなりの幅があるものの、

住んでいる環境で可能な限り良質な食べ物を食べたいと願い、

最大の努力をしてきたのが人類の偽らざる姿だと思います。

そして可能であれば、より良質な動物性食品をお腹いっぱい食べたいというのが、

実際的な人間の本能だと思います。

なぜなら、動物性食品が人間の生理システムにたいして、

非常に重要な役割を果たしているからです。

 

タンパク質が豊富

動物性食品が重要である具体的な理由はどういうものか?

まず第一に、動物性食品は大部分の植物性食品より、

タンパク源として優れています。

肉、魚、卵、ミルクやチーズなどの乳製品は、

ほとんどの植物性食品に比べてタンパク質の占める割合が大きい。

つまり、タンパク質をたくさん含んでいます。

また質の面でも、動物性タンパク質は植物性よりも優れている。

体内で作り出すことの出来ない「10種類の必須アミノ酸」を、

人体の組成に近い割合で含んでいるのが動物性蛋白質なんです。

 

タンパク質の重要性

身体はタンパク質を使って組織かたちづくり、機能を維持しています。

筋肉、器官、細胞、ホルモン、酵素のどれも、

アミノ酸が長い鎖状に繋がったさまざまな種類のタンパク質からできている。

例えば、料理された肉、魚、液体ミルクの15%~40%はタンパク質です。

これに対して、料理された穀物に含まれるたんぱく質は2.5%~10%程度。

比べると、はるかに少ないですね。

料理された豆類(インゲン豆、ソラマメ、ピーナッツ、レンズ豆、エンドウ豆)も同程度です。

ジャガイモ、サツマイモ、ヤムイモ、マニオクなどのデンプン質塊根作物は、

果物や葉物野菜と同じように重量当たり3%以上のタンパク質を含むことは稀です。

堅果類、ピーナッツ、大豆は、

肉、魚、ミルクと同じくらいタンパク質を含む植物性食品ですが、

大豆を除いて植物性タンパクの質は、動物性たんぱくの質に比べ格段に劣ります。

また、食べた後の消化吸収効率については、

たいていの動物性タンパク質は吸収がよく、

豆類、小麦、トウモロコシと比べて25%~50%くらい高いようです。

 

必須アミノ酸

タンパク質はアミノ酸からできています。

身体を構成するさまざまな種類のタンパク質を作るには、

22種類のアミノ酸が必要で、身体はそのうち12種類を体内で合成することができる。

でも、合成できない10種類のアミノ酸があり、それは「必須アミノ酸」と呼ばれています。

必須アミノ酸は体内で合成できないため、日々食べ物から摂取する必要があります。

タンパク質を含む食品を食べると、タンパク質はそれを構成するアミノ酸に分解されます。

分解され、腸から吸収されたアミノ酸は体中に送られて蓄えられる。

そして、必要に応じて引き出され、いろいろな細胞や酵素などの材料として使われます。

もし、必須アミノ酸の含まれる食品をたべなくなると、

体内に蓄えていたアミノ酸を引き出して使うことになりますが、

このとき最も貯蔵量の少ないアミノ酸が枯渇してしまうと、

蓄えられている他のアミノ酸も使えなくなってしまうんです。

アミノ酸がタンパク質合成に使われない場合、

すぐにエネルギーに変えられ燃やされてしまうか、

脂肪として蓄えられる仕組みになっていて、

身体を構成する材料としては利用できなくなってしまいます。

 

植物性タンパク質の弱点

動物性食品は必須アミノ酸の含有量が多いことに価値があるのですが、

じつは植物性食品からも動物性食品と同様、10種類のアミノ酸をとることが出来ます。

問題は、必須アミノ酸の含有率が人間の必要と一致しないこと。

植物性食品に含まれる各種アミノ酸の割合は、

人間の体内におけるアミノ酸の割合と大きく異なっているのです。

そのため、必須アミノ酸のどれかが枯渇しやすく、

動物性蛋白質に比べるとはるかに早くタンパク質合成に使われなくなってしまうようです。

何故かと言うと植物に最も少ないアミノ酸こそが、

まさに人間が必要とするアミノ酸であるから。

たとえば人間は必須アミノ酸「メチオニン」を「スレオニン」の2倍必要とします。

一方、豆類は「メチオニン」の4倍の「スレオニン」を含有している。

本来、人間自身の肉こそ人間が必要としているタンパク質を完全に含んでいるのですが、

栄養学では、ニワトリの卵のタンパク質成分が最もそれに近いとしています。

 

植物性たんぱくを有効に利用する方法

植物性食品中心のタンパク質の質を高める方法があります。

穀類と豆類を一緒に食べれば、必須アミノ酸のバランスはかなり改善されます。

たとえば必須アミノ酸のリジンが不足しているため、

小麦のたんぱく質利用効率は卵の42%に限られます。

他方、豆類は必須アミノ酸メチオニン不足のため、

たんぱく質利用効率が小麦と同じくらい低い。

しかし小麦と豆類を一緒に食べると足りない部分を補うことが出来、

タンパク質利用効率は約90%まで改善されます。

 

動物性タンパクが優れている

でも、それでタンパク源としての植物と動物の価値が入れ替わるわけではありません。

量的に見ても質的に見ても、動物性食品はやはり植物性食品より優れたタンパク源。

仮にタンパク質を植物性食品からのみ摂取しようとしたら、

必要量を満たすために大量の植物性食品を摂取する必要があります。

小麦は必須アミノ酸をすべて含んでいますが、

それらのうち含有量が少ないアミノ酸を充分にとろうとしたら、

体重80キロの人は、一日に1.5キロもの小麦パンを食べなくてはなりません。

でも肉だったら、同じレベルのタンパク質を摂取するために、340グラムで済む。

しかもタンパク質の必要量は、成長期、妊娠中、授乳中、

病や感染症からの回復期、

怪我からの回復期には2~3倍程度まで増加することがあります。

このような必要性を植物性食品だけで満たそうとしたら、

相当な量の食品を食べなくてはならず、事実上不可能でしょうね。

休みなく食べつづけ、口から出そうになるまで詰め込む必要があります。

でも、肉、魚、卵、乳製品などであれば、

必要なタンパク質を無理なくとることができるでしょう。

 

ビタミンが豊富

動物生食品の栄養学的なメリットは、タンパク質だけではありません。

肉、魚、卵、乳製品には、ビタミンA、B群すべて、

ビタミンEなどの供給源であり、それらを濃密に含んでいます。

ビタミンB12については唯一の供給源であり、

これが不足すると悪性貧血や神経障害、精神障害の原因になる。

もし、完全な菜食主義者がビタミンB12不足に陥らないとしたら、

食べる植物性食品に昆虫が混じっているか、

ある種のコバルト消化バクテリアが入っているから。

菜食主義者はまた、くる病、ビタミンD欠乏による骨変形症になりやすい。

普通は皮膚に降り注ぐ日光によって十分なビタミンDが得られますが、

高緯度で冬が長く霧がかかったり曇りの日が多いところでは、

食事中のビタミンDが決定的な役割を果たしています。

ビタミンDは動物性食品、特に卵、魚、レバーはに豊富に含まれています。

 

ミネラルが豊富

動物性食品はまた、必須ミネラルを豊富に含んでいます。

血液の運搬に必要な鉄分は動物性食品(ミルクは除く)に豊富で、

しかもホウレンソウなどの植物性食品よりも吸収されやすい形で含まれています。

ミルクおよび乳製品は、骨の形成になくてはならないカルシウムを豊富に含み、

さらに男性の生殖能力に不可欠な亜鉛、その他、銅、

ヨウ素など微量ながらも必要な物質のほとんどを含むすぐれた食品です。

 

このように、人間の食べ物としての利点が非常に多い動物性食品、

世界中の人類は、与えられた環境の中で可能な限り手に入れようと努力してきました。

もちろん、厳しい自然環境や人口が密集して食料が足りないときなどは、

手に入る植物性食品を最大限利用して生き延びてきわけですが、

現代の日本において個人の健康を考えるとき、

子どもの発育や病からの回復を考えるとき、

このような基本的な事を考慮に入れて食べものを選択することが、

現実的に有効だと考えいています。

 

参考文献

「食と文化の謎」 マーヴィン・ハリス 著